研究課題/領域番号 |
15K16428
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
成瀬 麻美 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60583292)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 表現遊び / 個性的な動き / オリジナル模倣 |
研究実績の概要 |
本研究では,小学校低学年の表現遊びに着目した.表現遊びは題材の特徴を捉え多様な動きで表現することに重きが置かれているが,皆同じ動きを行うという問題から「個性的な動き」とはどのような動きかを明らかにすることにより,児童から「個性的な動き」を引き出す方法を検討することを目的とした.方法として,舞踊専門家による定性的な分析から「個性的な動き」を抽出しその動きを定量的に分析することで,個性的な動きを見つけるための新たな観点を得ることができると考えた.このことにより,指導経験がない教員においても個性的な動きを見つけやすくなると考えられる. 表現遊びから現れた模倣の動きに関して,先行研究では児童の動きを定性的な分析により「形骸模倣」,「誇張模倣」,「オリジナル模倣」の3つの分類しており,この「オリジナル模倣」を「個性的な動き」とし,「オリジナル模倣」の明確な観点を得るために実験を行った.対象はA小学校2年生の児童30名であり,動物の絵カードを提示し,児童が即興的にそのものになって動く実験を行った.その中から舞踊専門家3名による定性的な分析により,それぞれの模倣の動きを行った児童を3名ずつ抽出し計9名の児童を定量的に分析した. その結果,オリジナル模倣である「個性的な動き」は,模倣対象の直接的イメージ動作はみられず,身体を中心部から動かし,足を大きく動かすような独自の動きをしていることが特徴として明らかとなった.これは,同じものを見たとしても,記憶されることで個人のイメージが変形し,再度「記憶」を再生する際に違いが生じることから,「個性的な動き」が引き出される要因は児童の発想に大きく影響していることがわかった. 今後はこのような動きの違いが表れる要因をさらに分析し,指導法を検討していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度までには,「個性的な動き」の特徴を定量的な分析から明らかにし,論文にまとめることができた.しかし,児童の発想に関する分析はまだ途中であり,「個性的な動き」を引き出すための指導法にまでは至っていない.そのため,平成30年度には,「個性的な動き」にはどのような児童の発想が関わっているのかを明らかにする.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,表現遊びで現れる児童の「個性的な動き」を明らかにするために,児童の発想と動きの2つの視点から明らかにしていくことが目的であった.手順として,まず児童の動きに着目して分析したのち,児童の発想を掛け合わせてながら分析をする予定であった.しかし児童の動きの分析を定性的な分析と定量的な分析の両方の側面から行っており,分析の分量が多く児童の発想の分析が終わっていないのが現状である.そのため,平成30年度に「個性的な動き」を行った児童の発想を分析し,「個性的な動き」を引き出すための指導法を提案することを目標に研究を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は産休・育休により,一時中断していたため,使用額が当初の計画より少なくなった.そのため,平成30年度には研究の継続やまとめをするための諸経費と発表や打ち合わせなどの旅費に使用する予定である.
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