研究課題/領域番号 |
15K16436
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研究機関 | 沖縄大学 |
研究代表者 |
嘉数 健悟 沖縄大学, 人文学部, 准教授 (50612793)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教師志望学生 / 初任者 / シンガポール |
研究実績の概要 |
本年度は,教員養成の段階から継続して調査を実施しておりラポールの構築ができている初任体育教師を対象として,彼らが教員養成時代から保持する知識や授業観に現職教育(初任者研修や授業)が与える影響について参与観察やインタビュー調査等を実施した。また,教育実習における教師志望学生の教師観が教育実習を経験することで,それらがどのように変容するのかについても調査を行った。その結果,1)教育実習前後における教師志望学生の教師観は,教育実習前と比べると大カテゴリーの構造が変化するが,その下位カテゴリーの構造に変容が見られなかった。つまり,教育実習での経験は,既存の教師観を再認識する契機になること,2)教育実習前後における教師志望学生の教師観は,教育実習を通して指導教員の先生と共に授業以外の教師の仕事を経験することで,もともと持っている既存の教師観を自覚する契機になることなどを指摘した。 今年度は,前年度に調査が出来なかったシンガポールの体育教員養成や現職研修についての調査も行った。シンガポールでは,教員養成を目的養成で行っており,MOEが選抜し,NIEでの教員養成教育を受けることになっている。そのため,入学に当たっては,NIEが直接的に入試に関わることがなく,入学後に,NIEの中のPhysical Education and Sport Science(わが国における体育専修や保健体育専修)に所属し,体育教員養成の教育を受けている。また,シンガポールでは,Professional Developmentの一環として授業研究が注目されており,多くの学校や教師が力量形成に役立つと考えているようである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,昨年度に実施できなかった国外の調査(シンガポール)を実施できた。また,初任保健体育教師のインタビュー調査や授業の参与観察なども順調に実施した。これらの成果の一部については学会等での発表も行い,他者の意見を参考にしながら研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,教員養成段階から初任期,中堅期と継続的に調査を続けており,ラポールを構築している中堅期の体育教師を対象として,授業の参与観察,インタビュー調査等を実施し,ライフヒストリー分析等によって彼らが保持する授業観や信念を明らかにしていきたい。また,アンケート用紙を作成し,質問紙調査を実施し,中堅体育教師の一般的な「力量」形成の実態についても把握する。 そして,これまでの成果を踏まえて,日本の教育や教師を取り巻く文化や社会などの違いを考慮し,日本の教師教育において授業に関する教師の力量を向上していくための方策を提案していきたい。
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