今年度は,申請者のこれまでの研究に賛同し,教員養成段階から初任期,中堅期と継続的に調査を続けており,ラポールを構築している初任期の保健体育教師を対象として,インタビュー調査等を実施し,彼らが保健体育の授業に関してどのような課題を抱えているのかについて検討した。その結果,保健体育教師は体育授業よりも保健授業への課題を抱えており,「保健の授業やる意味」「保健の授業の教材研究」「保健の授業の方法」について課題を抱えていることが明らかとなった。また今年度は,大学院に進学した教師志望学生へのインタビューも実施した。これまでは学部生や学部を卒業した現職の教師を対象としてきたが,大学院においてより高度な専門性を学び,学部生と異なるキャリアを積んだ教師志望学生がどのような力量形成を図るのかを検討することは本研究の発展につながると考えた。そのため,教職大学院に進学した学生2名,教育学研究科に進学した学生1名にインタビューを実施した。 国外の調査ではシンガポールの教員養成を行っているNIEを訪問した。NIEにおける体育教員養成は,学生に体育の専門的な知識や技能を習得させることが目的としたphysical education sports scienceの学科,教育実習などの実践に関することはPracticum専用のOfficeによって行なわれている。また,シンガポールの文科省(MOE)は体育に力を入れつつあり,そのための養成や現職研修を充実しようとする取り組みも進めていることも明らかとなった。
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