研究課題/領域番号 |
15K16437
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研究機関 | 山形県立米沢女子短期大学 |
研究代表者 |
比留間 浩介 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 講師 (60588440)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腕振り / 観察ポイント |
研究実績の概要 |
本研究では疾走動作を対象にし、体育を専門としない小学校教員や一般生徒など比較的運動経験や観察経験の少ない者が、技術の習得状況について、適切に観察評価できる項目と出来ない項目を分類し、体育授業で利用可能な動作の観察ポイントを確立することであった。この目的を達成するために、昨年度は、小学生の疾走動作の撮影および分析、小学校教員に対する面接調査を行った。 具体的には、小学校5、6年生、計31名を対象に、50m走を実施してタイムを測定するとともに、側方からパンニング撮影を行った。その後、小学校教員10名を対象に、撮影した動画を2回見せた後に2段階評価(A : 良い、B : 改善が必要)を行わせた。なお、どちらともいえない、判断できない場合は回答しないように指示した。また、評価後にAまたはBと評価した理由を自由記述させた。評価は、10人中8人以上の判断結果を採用し、「A : 良い」をGood群、「B : 改善が必要」をPoor群とした結果、6名がGood群、14名がPoor群に分類された。 主な結果として、自由記述の内容をテキストマイニングしたところ、Good群では、「良い」、「フォーム」といった記述が多く、Poor群では、「腕」、「振り」といった記述が多かった。また、キネマティクス的な比較を行ったところ、肘角度の屈曲が保たれていない児童をPoor群としている傾向がみられた。このことから小学校教員は、腕、特に肘の屈曲・伸展に着目して動作の優劣を評価していることが示唆された。これまで、体育を専門としない教員における疾走動作の観点については明らかにされてこなかったため、この結果は、体育授業で利用可能な疾走動作の観察ポイントを確立する上で重要な知見であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画は概ね順調に進んでいる。疾走動作の撮影および分析や体育を専門としない小学校教員に対する面接調査は予定通り進められたが、短距離の指導者や体育教員に対する面接調査を実施することができなかった。しかし、対象者への依頼や面接の時期についての計画を立てることができたため、大幅な遅れはないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、短距離の指導者や体育教員の観察ポイントを明らかにし、昨年度明らかにした小学校教員における観察ポイントとの比較を行うことで、体育授業で利用可能な疾走動作の観察ポイントについて検討していく。また、本研究課題で得られた知見を学会や研究誌に発表することで、情報収集や情報発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の出張であったため、出張旅費の支出が次年度となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度早々に支出する。
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