研究課題
ボールゲームにおいて,選手はゲーム中に出現する戦術的課題を素早く且つ的確に達成する能力を高めておくことが重要となる.この能力の向上には,状況判断能力が重要な役割を果たす.これまで,状況判断能力のトレーニングに関する研究は少なく,特に小学校低学年においては,戦術的状況判断能力の育成に関する研究はほとんど見られない.本研究では,2年間の計画とし,戦術要素を潜在的・付随的に学習するプロセス(Roth et al.,1999)を用いた小学校低学年やそれ以前における戦術的状況判断能力の育成プログラムを開発することを目的とした.平成27年度の目的は,小学校低学年以下の児童に対して,上述したプログラムを実施し,そのデータを収集することであった.収集された主なデータは,1)1年回で26回のボールゲームプログラムを実施し,そこに参加した60名(3歳~8歳)の児童の行動記録,2)上記ボールゲームプログラムに参加していない小学校低学年児童のゴール型ボールゲームの行動記録であった.また,分析のために参考とする次のデータを収集した.収集された主なデータは,1)小学生(1~6年)の一般的運動能力,2)小学校3年~6年生のゴール型ボールゲームの行動記録,小学校中学年(4年生)の2週間のボールゲームトレーニングの行動変容であった.平成28年度の前半は,データ分析を計画さしており,映像分析による児童の位置情報の算出, およびStiehler et al. (1988), Roth et al.,(1999),グリフィン(1999)を参考に作成した評価基準を用いて,ボールゲームにおける状況判断能力の評価を試みる.
2: おおむね順調に進展している
平成27年度はデータ収集が計画されていた.必要となるデータは十分に収集できた.また,参考となるデータの収集もできており,部分的に分析に取り掛かることができている.このため,おおむね順調に進展しているといえる.
平成28年度の計画は,前半がデータ分析であり,後半が育成プログラムの構築となっている.当初は,小学校低学年のデータのみの収集を計画していたが,発達年齢の考慮および比較対象とするために,小学校中学年および高学年のデータについても追加でデータ収集し,分析する必要があると考えられた.そのため,当初計画した平成28年度前半で分析を終了することは困難であり,育成プログラムの検討と平行して平成28年度の後半も分析を継続する可能性がある.
データ収集における動画撮影について,カメラを固定することによって,人員の削減につながり人件費及び謝金の削減になった.また海外での研究打ち合わせを計画していたが,日程調整できなかった.そして,次年度購入予定の分析用のを映写するプロジェクタおよび,ボールゲームプログラムの実施およびデータ収集に関わる消耗品・備品の必要性があり購入したが,4107円の差引額となった.
当初計画した小学校低学年の分析だけでなく,中学年および高学年の分析の必要性があるため,謝金として使用を計画している.
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