本研究は、日韓を取り巻く近世アジア最大の戦争であった豊臣秀吉による朝鮮出兵と、その戦後処理から始まった徳川幕府による朝鮮通信使招聘という、二つの歴史的出来事が齎した武文化の相互伝播と受容に着目した。日韓武道の固有性と相似性の解明に向けた、日韓における武文化交流を実証的に検討することを目的とした本研究では、関連資料分析や現地調査を通じて、朝鮮出兵の際に朝鮮に帰化した日本の武士(降倭)による日本武術、とりわけ剣術の朝鮮伝播と、その後日朝関係回復のため招聘された朝鮮通信使による朝鮮武術、とりわけ馬術の日本伝播の一端が浮き彫りになった。
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