研究課題/領域番号 |
15K16445
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
荒牧 亜衣 筑波大学, 体育系, 特任助教 (30507851)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オリンピック・レガシー / オリンピック・ムーブメント / 教育プログラム / 競技施設 / 2016年リオデジャネイロ大会 / 1976年モントリオール大会 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、平成27年度の進捗状況を踏まえ、有形と無形のレガシーの関係性に関する分析枠組みの構築に向けて、主として以下の研究を行った。第1に、巨額な赤字を抱え、開催から40年が経過した1976年モントリオール大会について着目し、1964年東京大会の資料分析の成果をもとに、より長期的な視点からレガシーとして指摘できるものについて評価を行った。また、評価に際にしては、レガシー計画が招致段階において明文化された2012年ロンドン大会の資料を参考に検討した。第2に、1964年東京大会および1976年モントリオール大会に関する研究成果を中心に、8月に開催された日本体育学会第67回大会にて講演を行った。第3に、8月にブラジルのポルトアレグレで開催されたオリンピックスタディセンターコロキウムにおいて、2020年東京大会に向けた日本における教育プログラムに関する調査研究の成果について、レガシーを計画する視点から口頭発表およびポスター発表を行った。コロキウムでは、各国のオリンピック研究者と意見交換を行い、1964年東京大会と2020年東京大会のレガシーについて、評価と計画の両視点から具体的事例を踏まえ議論した。また、リオデジャネイロ大会期間中に各競技会場を視察し、各施設の活用方法や教育プログラムの展開について情報収集を行った。第4に、JOA特別コロキウムや日本体育・スポーツ哲学会に参加し、国内の専門家にこれまでの研究成果について個別に意見を伺うとともに、最近のオリンピック研究の動向等についても情報収集を行った。以上の研究成果により、有形と無形のレガシーについて、計画と評価それぞれの視点から整理することについて再確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究成果に基づき、計画概念としての意味合いが付与されたレガシーと過去の大会に関する評価について言及する際のレガシーについて、それぞれの視点から明確に区別して論じる必要性が示唆された。今年度は、昨年度事例として取り上げた1964年東京大会から12年後に開催され、大会後40年が経過した1976年モントリオール大会に着目し、計画と評価それぞれの視点からレガシーについて検討を行った。その結果、有形と無形のレガシーともに、時間軸を考慮してその関係性を探る必要性が示唆された。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシーについては、計画概念としてのレガシーに関して、無形のレガシー創造の視点から教育プログラムを対象に考察を行い、その研究成果を各種研究会等において発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、計画と評価双方の視点から、有形と無形のレガシーに関する分析を進めていくとともに、平成27年度から課題となっているオリンピック・ムーブメントへの貢献に関するレガシーについての検討を進めていきたい。具体的には、日本で開催されたオリンピック競技大会を中心に、評価としてのレガシーに関する資料収集および考察を行う。また、オリンピック・ムーブメントの推進に関して有形、無形のレガシー創造の視点から重要な役割を果たすことが期待されるオリンピック・ミュージアムの機能や、ミュージアムを活用した教育プログラムの展開についても検討したい。また、3年間の研究成果については、体育学研究や体育・スポーツ哲学研究等の関連誌への投稿を予定している。さらに、研究の総括と研究期間終了後の課題を明確にするために、各専門家との意見交換の場を設けることを計画している。
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