平成27年度から平成28年度までの成果として、1976年モントリオール大会、2012年ロンドン大会、1964年東京大会、2020年東京大会を対象に考察を行った結果、本研究では、計画と評価それぞれ視点から有形と無形のレガシーについて研究を進めることを確認した。そこで、今年度は、計画と評価というレガシー概念の分析枠組みの構築を念頭に、昨年度からの課題となっていたオリンピック・ムーブメントに貢献するレガシーに関する検討を進めるとともに、成果報告の準備に着手した。具体的には、1964年の聖火リレーを対象に研究を進めることによって、オリンピック競技大会がもたらすものについて考察した。また、1964年東京大会聖火リレーに関する研究成果をもとに、2020年東京大会に関する計画としてレガシーについて分析を試みた。今年度の本研究に係る実施内容については以下の通りである。第一に、1964年東京大会の聖火リレーに関する情報収集のため、秩父宮記念スポーツ博物館・図書館、国立国会図書館に所蔵されている関連資料の蒐集を行った。第二に、2020年東京大会の計画としてのレガシーに関する調査のため、日本造園学会関東支部学会に参加し、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と東京臨海部の開発に関する研究発表を聴講し、情報を収集するとともに、ランドスケープの専門家と意見交換を行った。第三に、2012年ロンドン大会のレガシーに関する学術講演会に参加し、評価としてのレガシーの視点に関する情報収集を行うとともに、オリンピック研究者らとの意見交換を行った。第四に本研究の成果発表を行うために、カリフォルニア州立大学フラートン校で開催されたカンファレンスに参加し研究発表を行った。また、海外のオリンピック研究者らと1964年東京大会、2020年東京大会について意見交換を行った。
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