研究課題/領域番号 |
15K16448
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研究機関 | 金沢星稜大学 |
研究代表者 |
西村 貴之 金沢星稜大学, 人間科学部, 講師 (60710233)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | クラブマネジャー / 総合型地域スポーツクラブ / クラブマネジャーの業務実践 / 質的研究法 |
研究実績の概要 |
総合型地域スポーツクラブが社会的企業としての質的充足に至らない背景として、クラブ運営の中核人材であるクラブマネジャーの業務実践の実態が明らかにされておらず、人材育成における適切な方法論が確立されていないことに原因があると考えた。そこで本研究は、①クラブマネジャーの業務実践の実態、②クラブマネジャーの業務実践を規定する要因、③クラブマネジャーの気づき・学びを生む要因、④クラブマネジャーの業務実践とクラブの発展・成熟との関係、の4点について明らかすると共に、総合型クラブの発展・成熟とクラブマネジャーの業務実践との両者の動態的な関係性をモデルとして示すことを目的とした。 平成27年度は石川県内で活動する3つの総合型地域スポーツクラブのクラブマネジャーを対象とした予備調査を行った。その結果、クラブマネジャーの業務実践と総合型クラブの発展・成熟との両者の動態的な関係性がモデル化された。そこでは、より対象を広範にした詳細なデータの収集と分析によるモデルの精緻化と、研究結果の実践的活用にむけた検討を課題として残していた。 平成28年度は予備調査の3クラブを含む、日本国内で活動する9つの総合型地域スポーツクラブを対象として本調査を行い、モデルの精緻化を進めることができた。また、精緻化されたモデルを今後の実践的活用へと展開していくため、クラブマネジャーの成長段階とそこで求められる業務実践内容を「プロジェクトマネジャー段階」、「クラブマネジャー段階」、「地域コーディネーター段階」の3つの成長段階に整理・分類することができた。今後は、本研究での結果をもとに、各成長段階に合わせたクラブマネジャー育成プログラムをデザインし、試行的実践によってその効果を検証していくことが求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書提出内容、及び、平成27年度の「研究実施報告書」提出内容をふまえると、平成28年度研究実施計画として、以下の2点を提示していた。 ①平成27年度実施の予備調査をふまえて、本調査を実施する。本調査は全国8か所程度の総合型クラブで実施する。クラブマネジャーの業務実践に同行し、観察及びインタビューを行い、可能な限り多くのデータを収集する。 ②本調査で得られたデータを整理し、日本体育・スポーツ経営学会、日本スポーツマネジメント学会で発表を行う。また、体育・スポーツ経営学研究もしくはスポーツマネジメント研究への論文の投稿を行う。 上記①については、全国9ヵ所の総合型クラブにおいてクラブマネジャーの業務実践に同行し、時間の許す限り、業務実践状況の観察やインタビューによるデータ収集を行うことができたと考える。②についても、第40回日本体育・スポーツ経営学会にて、口頭発表(発表標題:クラブマネジャーの業務実践と総合型クラブの発展・成熟との関係性モデル構築)を実施することができた。また、日本スポーツ産業学会第25回大会にて、ポスター発表(発表標題:総合型地域スポーツクラブの成長段階に合わせたクラブマネジャー育成プログラムの提案~スポーツによる地域課題解決の担い手育成に向けて~」)を実施することができた。論文投稿については、本研究の成果の一部として投稿した論文が、日本スポーツ産業学研究、27巻1号に掲載(論文標題:総合型地域スポーツクラブの成長段階に合わせたクラブマネジャー育成プログラム)された。 以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究推進方策としては、平成28年度中に収集したデータの分析及び考察をより詳細に行い、論文執筆及び学会発表を実施するとともに、調査報告書としてまとめる。調査協力者である、クラブマネジャーへの報告及び意見交換を行い、今回の研究成果を、今後のクラブマネジャー育成プログラムのデザインや、その試行的実践へと結び付けていくための方法論を模索したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画よりも進展があり、平成29年度に執行予定であったインタビュー調査の実施やインタビューデータの文字起こし等の実施費用を、平成28年度中に前倒し支払請求を行っている。それによって一部助成金に残額が発生し、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定において執行予定であったものを前倒しで執行した中で生じた差額であるため、次年度使用額については予定通りの残りの研究内容を実施することで、当初の計画通り執行できると考えている。
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