最終年度は、障害のある人を対象に運動実施状況及び運動実施に関連する要因を含むアンケート調査を実施した。その結果、リハビリの一環としてや、健康の維持増進を目的に運動やスポーツを実施する人が多い一方で、体力に自信がなく、運動やスポーツを行いたいと思っているができないと捉えている人が少なくないことがわかった。また、地域の運動・スポーツ教室やイベントに参加するよりも、自宅周辺での体操やウォーキング、調査圏特有のマレットゴルフなどが好まれており、運動の気軽さも重要であると考えられた。さらに、山・高原・川・湖など自然の中で四季を通して運動やスポーツを楽しみたいと考えている人が半数以上おり、その中には、専門機材や野外活動の専門家が支援をすればバリアフリー環境でなくとも構わないと考えている人が多いこともわかった。一方で、阻害要因として、障害があることで難しいと感じている、楽しみたいがどうすればいいかわからないといった、心理的・情報的バリアがあることが明らかとなった。これらのことから、障害があっても、また体力に自信がなくとも実施できる種目や支援体制が整っていれば運動やアウトドアスポーツを楽しみたいと考えているスポーツ実施予備軍の存在が認められた。 本研究3カ年の成果は、専門学会だけでなく、障害者スポーツ推進会議や、ユニバーサルツーリズム関連セミナー等で報告をし、障害のある人への発信はもちろんのこと、障害のない人を含めた関係各所にも広く発信することができた。また、研究結果を踏まえて実施したユニバーサルフェス(長野県等との共同実施)は、専門機材やアウトドアスポーツの専門家、理解ある支援者を動員することにより、障害のある人とその家族や仲間を自然の中での運動スポーツ活動へと誘うことができた、実践的な成果である。なお、運動の継続性に関する効果検証及び最終年度の成果論文の作成は今後の課題である。
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