最近注目を浴びている等速度で行うサイクリックストレッチング(CS)を4週間実施し,筋腱の粘弾性と筋硬度の経時的変化を示し,身体パフォーマンスへの効果を明らかにし,スポーツ活動前後に適したストレッチング方法や外傷予防につながる新たなストレッチング方法を構築した.一般的によく用いられるスタティックストレッチング(SS)をCSの対照群として同じく4週間実施した.CS群とSS群の介入前後の比較では,⊿MTJ(20°)とSR(0°‐20°),最大ROMにおいて両群で有意な差を認めた.またCS群では,羽状角(10°,20°),足関節底屈最大トルク,SJとCMJは有意に高値を示し,DPSIの項目(DPSI,MLSI,APSI,VSI)が有意に低下した( p<0.05 ).SS群は,⊿MTJ(0,10°)が有意に高値となり,足関節底屈最大トルクは有意に低下した( p<0.05 ).超音波画像より得られた結果より,CS群とSS群の4週間の介入は,どちらも筋粘弾性や筋硬度を改善させることが示された.また,SS群では,⊿MTJが有意に改善したことからCS群に比べて筋粘弾性をより改善させる可能性を示唆した.しかし,それに伴い継続的にSSを実施することで,足関節底屈最大トルクを低下させることも示された.次にCS群では,足関節底屈最大トルクを向上させるだけでなく,動的バランスや跳躍力を向上させることが示された.これらのことから,CSは筋の粘弾性や硬度を改善させるだけでなく,筋パワーや身体パフォーマンスも向上させることが明らかとなった.この結果は新たな発見であり,スポーツ現場で行われているストレッチングの新たな方法として提示することが可能であり,スポーツでのパフォーマンス向上という観点からもその臨床的意義は高いものと考える.CSとSSの特徴を踏まえて,スポーツ現場での選手に臨床応用ができると考える.
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