研究課題/領域番号 |
15K16453
|
研究機関 | 東亜大学 |
研究代表者 |
山崎 将幸 東亜大学, 人間科学部, 准教授 (80567199)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | モチベーションビデオ / オリンピックアスリート / PCI for モチベーションビデオ / 多面的評価 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究実績については、予定通りに行うことができた。その理由として、平成27年度に世界選手権を対象としたパイロットスタディを実施したため、パイロットスタディから見えてきた課題をクリアするために、モチベーションビデオの作製段階において、オリンピックアスリートに対して、インタビュー調査を行い、オリンピックアスリートが考えるモチベーションビデオの構成要素を明確にすることが可能となった。このインタビュー調査から、オリンピックアスリートの考えるモチベーションビデオの構成要素については、自分自身の試合の映像のみならず、オリンピックまでの道のりでお世話になった指導者の方、練習に付き合ってくれた仲間の存在が浮き彫りとなり、これらの要素を入れたモチベーションビデオを作製することが望まれた。また、これまでのモチベーションビデオの心理的側面の評価基準であったPCI for モチベーションビデオの質問紙4因子(一般的活気・技術効力感・闘志・競技失敗不安)16項目の質問項目に加えて、新たに表出されたイメージ因子(4項目)を加えて、計5因子20項目の質問紙調査によって、オリンピック時に使用したモチベーションビデオの心理的側面の評価をすることが可能となった。また、心理的側面以外に、試合の実力発揮度(主観的評価)、モチベーションビデオの有効性についての主観的評価、結果に対する目標の到達度(主観的評価)を加えて調査することより、オリンピックという通常ではない試合形態の調査をより詳細に行うことができた。これらの調査の結果については、第43回日本スポーツ心理学会にて研究発表として行い、多くの聴衆者にオリンピック時データを発表することによって、詳細なディスカッションをすることによって、論文執筆への意見をいただくことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までの研究の進捗状況については、概ね順調に進展している。今年度は、オリンピックという大舞台でオリンピックアスリートに対して、モチベーションビデオを提供して、オリンピックアスリートの実力発揮に少なからずサポートの力を発揮し、その科学的データを収集することであった。モチベーションビデオを作製するにあたり、機材が必要となったが、モチベーションビデオを作製するためのPC、オリンピックアスリートにモチベーションビデオを視聴してもらうためのiPad mini、素材を撮影するためのビデオカメラ、現地で調査をするために質問紙を印刷するプリンター等の機材を4月の早い段階ですべて購入することができたため、モチベーションビデオの素材集め、オリンピックアスリートへのインタビュー調査、モチベーションビデオの作製を予定通り進めることが可能であった。オリンピックでは、柔道競技のサポートスタッフの一員として帯同することにより、オリンピックアスリートへのモチベーションビデオの提供、質問紙調査の調査用紙の配布・回収も現地で滞りなく行うことができた。このオリンピックでの貴重なデータは、第43回日本スポーツ心理学会で研究発表し、論文執筆に向けた意見交換をすることができた。今年度は、研究を予定通りに進めることができたため、次年度に向けて論文執筆をすることが社会的発信になると考えられる。データの貴重度を踏まえて、論文執筆をしていくことが望まれる。また、今年度得られたデータについては、日本国内だけではなく、国際学会での発表もスポーツ科学の研究の発展に大きく寄与すると考えられるため、国際学会での発表も予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、研究計画書を提出した通り、国際学会での発表をすることで、スポーツ科学の研究の発展に大きく寄与すること、自分自身の論文執筆への課題を明確にすることができると考えられるため、研究発表を予定している。また、本研究課題で得られたデータを科学論文にすることが社会的発信に大きく寄与するため、日本国内の学術雑誌への研究論文投稿または、国際学会の学術雑誌への英語論文での投稿を予定している。本研究課題の次年度の使命としては、オリンピックアスリートのオリンピック時のモチベーションビデオを最新携帯情報端末にて視聴することの心理的側面への効果、並びにパフォーマンス側面への効果について、科学的にデータをまとめ、発表する段階に来ている。次年度内には、国内学術雑誌または、国際学会の学術雑誌へ論文投稿し、アクセプトすることを目標に研究活動を行っていくことである。研究データはすでに収集が終了しているため、国際学会での発表(ECSS2017)を通じて、論文執筆作業に取り掛かることが最重要課題であると考えている。論文執筆に向けては、これまでのモチベーションビデオの科学的研究と比較して相違点を明らかにしていくことが、このモチベーションビデオの科学研究としての発展に大きく寄与するといえる。データ自体はオリンピック時のオリンピックアスリートのデータを収集できていることから、研究としてのオリジナリティは非常に高く、世界的にも高い評価を得られるのではないかと考えている。次年度は、収集したデータを適切に処理し、研究発表や論文投稿を行うことで、社会的発信を行い、スポーツ科学研究の発展に寄与することを目的に活動を行っていくことになる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
リオオリンピックでの調査を計画・実行したが、物品費は当初の計画よりも大幅に超えてしまったが、その分旅費・人件費・謝金を計画よりも低額で抑えられたことにより、本年度の使用額について285円の残額が生じた。この残額については、誤差の範囲だと考えられるため、当初の計画通り、使用額は実行することができたと考えられる。研究に必要な物品を揃えることができ、また、旅費や人件費・謝金を抑えることができたため、当該年度の計画は予算の範囲内で実行することができた。
|
次年度使用額の使用計画 |
残額が285円と少額のため、次年度の論文執筆や学会発表に伴う文献複写料金や文房具の購入に当てることとする。
|