研究課題/領域番号 |
15K16456
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
河崎 敬 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50453189)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 暑熱負荷 / 循環調節機能 / 体温調節機能 |
研究実績の概要 |
先人の研究により健常者では高体温時に循環調節機能が低下することが知られている。また、循環調節と体温調節は密接にかかわっている。一方、脊髄損傷者は体温調節が十分に機能せず、高体温になりやすいことも知られている。しかし、脊損者の暑熱環境時の体温調節機能や循環調節機能を健常者と比較検討した研究は少なく、危険性について検討しようにも基礎的なデータが明らかに不足している。本研究の目的は、脊髄損傷者の暑熱負荷時における心機能評価や循環調節機能を測定し、健常者と比較検討することである。健常者との比較検討により、体温調節機能、循環調節機能における脊損者の特異性を検証し、脊髄が循環調節機能に果たす役割の解明を行う。頚髄および高位胸髄レベルの損傷を有する脊損者群、下位胸髄および腰髄レベルの損傷を有する脊損者群と年齢、身体特性の類似する健常者の三群を対象として、両下肢または全身を加温する事で深部体温(食道温)を上昇させる。安静時及び体温上昇後に心機能などを評価する。 平成28年度において、当初購入予定であった水循環スーツが生産中止中であったため購入できず、既存の機器を使用して測定を行なったため、測定実施可能人数が予定より少数となった。11月に胸腹髄損傷者を対象として測定を行った。胸腹髄損傷者では、食道温を1℃上昇させた際に、皮膚表面温度は約3℃上昇し、皮膚血管抵抗は胸部で0.37±0.19から0.99±0.43 au/mmHgまで上昇した。心拍出量は1.6±0.6l/min上昇した。心臓超音波検査での評価では、左房収縮能、左室収縮能、心拡張能は深部体温が上昇する事で全て増加した。今回の研究において、健常者への測定は未施行ではあるが、過去の同様の研究におけるデータと比較すると、胸腰髄損傷者では健常者に比していずれもやや低下している印象がある。平成29年度では健常者、頚髄損傷者のデータ測定を行い、比較検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度は、平成27年度に完了できなかった下位胸髄~腰髄損傷者、健常者に対しての測定に加え、頚髄損傷者への測定を行う予定であったが、当初購入予定であった水循環スーツが生産中止中であったため購入できず、既存の機器を使用して測定を行なったため、測定実施可能人数が予定より少数となった。また、被験者の選定にも難渋したが、11月に胸腹髄損傷者を対象として測定を行った。また、研究代表者が平成28年3月より他府県一般病院に異動となり、臨床業務が多忙となったため、研究遂行に想定以上に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には健常者、頚髄損傷者を対象とした可能な限りの測定を行い、データ取得を目指す。また、データ解析を行い、健常者との比較、平成28年度に測定した胸腰髄損傷者との比較検討を行う。測定、解析データを元に学会発表、論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、平成27年度に完了できなかった下位胸髄~腰髄損傷者、健常者に対しての測定に加え、頚髄損傷者への測定を行う予定であったが、当初購入予定であった水循環スーツが生産中止中であったため購入できず、既存の機器を使用して測定を行なったため、測定実施可能人数が予定より少数となった。また、被験者の選定にも難渋したが、11月に胸腹髄損傷者を対象として測定を行った。また、研究代表者が平成28年3月より他府県一般病院に異動となり、臨床業務が多忙となったため、研究遂行に想定以上に時間を要しており、支出が当初計画に比して減少し、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度には健常者、頚髄損傷者を対象とした可能な限りの測定を行い、データ取得を目指す。また、データ解析を行い、健常者との比較、平成28年度に測定した胸腰髄損傷者との比較検討を行う。測定、解析データを元に学会発表、論文作成を行う予定である。
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