近年の研究にて,”前足部(つま先)から接地することで,後足部(踵)から接地するよりもランニング接地初期における地面反力(足が地面から受ける力)が減少する”と報告されており,障害発症予防を目的とした研究で注目が集まっている.しかし先行研究では腱や骨といったランニング関連障害が実際に発症する部位へ作用する力の評価は行えておらず,地面反力のみの評価に留まっているという大きな問題点を有している.そこで本研究では異なる接地方法が足部周りの腱および骨(アキレス腱および脛骨)に作用する力へ及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.その結果,1)一定の走速度条件においてアキレス腱および脛骨に作用する力は前足部接地で最も大きく,次いで中足部接地,後足部接地の順で小さいこと,2)走速度の増加に伴いアキレス腱および脛骨に作用する力も増加したが,その差分は接地方法間の差分よりも小さいこと,3)接地初期の足関節の運動方向が異なることから,センサ由来のデータを用いた接地方法やアキレス腱および脛骨に作用する力の推定等の障害リスク評価の可能性が示された。これらの研究成果は国内および国際学会等(International Society of Biomechanicsなど)での発表を行い,関連する複数の国際誌(International Journal of Sports Medicineなど)にて研究論文として掲載済みである.
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