①動作の不確定性がドロップジャンプ接地前の下肢・体幹の予備筋活動、姿勢制御に及ぼす影響について明らかにした。本研究ではドロップジャンプと着地動作の切り替えタスクを用いたが、動作が不確定になった際は接地姿勢や予備筋活動が2つの動作時の中間的な水準で準備されることが明らかになった。この研究結果は、先行研究で提唱されていた「不確定条件下のドロップジャンプでは筋活動を低い状態で接地準備する」という考察を覆すものであり、学術的意義の高いものとなった。 ②不確定なドロップジャンプの熟練度による動作戦略の違いについても検討を行った。本年度に関しては、12月に行われた日本バスケットボール学会大会にて「動作を切り替えたドロップジャンプにおけるバスケットボール選手の接地前の姿勢修正」を発表し、バスケットボール選手は陸上競技選手と比べて動作を切り替えた際の接地姿勢が動作が確定した条件に近いものになっていることを示した。臨機応変なジャンプ動作の遂行に滞空中の姿勢修正が関わっていると推測され、今後の運動制御研究やトレーニング科学研究の新たな糸口となることが期待できる。 ③不確定なドロップジャンプのパフォーマンス決定要因としては、先述した接地姿勢と予備筋活動をいかに確定条件の水準に近付けるかという点が挙げられた。今後の研究では、この接地前の運動準備の熟練度を向上させるための効果的なトレーニング方法の開発が求められる。
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