• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

スポーツを通じた「多文化共生」関係構築に関する社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K16465
研究機関東海大学

研究代表者

植田 俊  東海大学, 国際文化学部, 助教 (90734848)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードネットワーク形成 / 都市形成 / 都市政策 / 理念と実体の乖離 / 空間の生産
研究実績の概要

本研究は、在日ブラジル人の生活実態と彼らのスポーツ実践との関係を踏まえた上で、①スポーツを通じて在日ブラジル人―日本人の間の関係が形成されていく過程、および②それが在日ブラジル人と日本人たちの日常生活へ与える影響の実態解明を目的とした。初年度(平成27年度)は先行研究の検討(文献の整理)、行政資料等の整理および予備的調査の実施を計画した。先行研究については、欧米の事例研究を中心に移民―ホストの社会関係形成とスポーツという文脈における「ネットワーク形成論」を新たに整理した。その結果、従来の議論がスポーツを通じて形成される社会関係(ネットワーク)から得られる効用について、共時的な視点からのみ捉えており、関係性が変化する可能性やその現実をとらえ切れていなかったことが明らかとなった。そこで、通時的な視点の導入やインテンシブなフィールドワークによる関係性変化を生む機微を捉えることの必要性が確認された。また同時に、移民―ホストの社会関係の「質(内実)」を左右する「文化」の折衝に関する議論である「トランスナショナリズム論」も整理を進めることができた。改めて中間年度(平成28年度)の成果としてまとめる予定である。
一方、本研究の事例地である愛知県豊田市における都市形成史、政策史に関する資料収集および整理も進め、当該地域で展開されている生活・スポーツ実践が存立する文脈・社会的背景の把握に努めた。具体的には、現在の在日ブラジル人の集住状況およびそこでの社会関係形成の実態を生んだ都市的背景(都市計画、経済・労働政策、スポーツ政策)の解明に取り組み、結果として、目指すべき理念的状況としての「多文化共生」と実際に進行してきた「多文化共生」の現実との間にはズレが生まれており、それを調停しようとする試みと実体との乖離は「空間の生産」という視点からより把握できる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度(平成27年度)に予定していた、先行研究の検討(文献の整理)、行政資料等の整理および予備的調査の実施は、おおむね順調に進んだ。先行研究の検討の整理の成果の一部は論文として公表し、新たにまとめ直した資料については中間年度(平成28年度)の成果としてまとめて報告する予定である.

今後の研究の推進方策

中間年度(平成28年度)は、①事例地においてインテンシブなフィールドワークを実施すること、および②その成果の学会発表等での公表を計画している。初年度に進めてきた資料収集を継続しながら、当該地域で行われている諸実践の社会的文脈についての把握の進度を高めつつ、調査にあたる。できるだけ、現地での聞き取り・参与観察の時間を長く取り、「現場」で思考することを重視する。また、フィールドワークおよび初年度の作業で収集された資料については、研究論文の形にまとめ上げ報告することを予定している。

次年度使用額が生じた理由

初年度に計画していた、研究資料の整理および論文執筆のためのデスクトップPCの購入を行う前に、現地での資料収集、聞き取り等の実施に注力したため、購入が後回となったため、翌年度に予算を繰り越すこととなった。

次年度使用額の使用計画

中間年度(平成28年度)の当初に、前年度からの繰り越し金を充てて、研究資料の整理および論文執筆のためのデスクトップPCを購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] スポーツを通じてエスニックネットワークの構築と生活再編―日系ペルー人のAサッカークラブを事例として―2015

    • 著者名/発表者名
      植田俊
    • 雑誌名

      東海大学国際文化学部紀要

      巻: 8 ページ: 45-62

    • 査読あり / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi