研究課題/領域番号 |
15K16466
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
森山 進一郎 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60386307)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腹腔内圧 / 水泳 / 体幹 |
研究実績の概要 |
水泳の初級者および上級者を対象に、ドローインおよびブレーシングの有無による牽引けのび姿勢およびクロール泳の速度、パワー、筋活動ならびに動作を比較・検討し、泳力レベルに応じたドローインおよびブレーシングの効果の検証ならびに水泳指導法提言への示唆を得ることを目的とした。昨年度は、水中でのけのび姿勢を対象に、水泳用牽引装置を用いて4 段階の牽引力で、ドローインおよびブレーシングの有無による泳速度、水平姿勢、腹腔内圧および筋活動の変化を分析したが、当該年度は、クロール泳を対象に、ドローインおよびブレーシングの有無による泳速度および腹腔内圧の変化を明らかにする実験を実施した。 被検者は、水泳初級者としてスイミングスクールなどにて専門的な水泳指導を受けたことのない女子大学生および日常的にトレーニングを継続している大学女子競泳選手とした。試技は、体幹部への意識を「特になし」、「ドローイン」および「ブレーシング」の三種類の条件下において、最大努力による25mクロール泳とした。競泳選手に関するデータ分析は終了し、2017年度の学会大会で発表する予定となっている。本実験より得られた結果として、泳速度および腹腔内圧は、体幹部のいずれの意識による影響も受けず、値に有意な変化は認められなかった。それゆえ、水泳時の体幹部への随意的なドローインやブレーシングは、腹腔内圧にも泳パフォーマンスにも影響しないことが示唆された。 また、本研究に関連して、競泳のトレーニングで日常的なメニューとして取り入れられているキック、プル、スイムおよびクロールを含むそれ以外の泳法における腹腔内圧の測定も行った。キック、プルおよびスイムにおいて、スイムはプルおよびキックよりも有意に高い腹腔内圧を示した。この結果は、腹腔内圧は上肢および下肢の動作の強度や速度に伴い上昇する、とする先行研究の知見を支持した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、昨年度に実施できなかった体幹部への意識の違いが水泳時のパフォーマンスに及ぼす影響に関して、問題を払拭するために予備的な実験を行い、対策を講じた後に本実験を実施することができた。今年度実施した実験をもって、本研究課題の目的解明に向けた実験はすべて完了した。得られたデータのうち、競泳選手を対象としたものは整理が終わり、2017年度の学会で発表することが確定している。現在は、学会に向けたスライドなどの作成および未処理のデータ整理を行いつつ、昨年度に実施したデータの公表および論文化に向けて進めている。 また、当該年度には、本研究課題に関連するキック、プル、スイムにおける腹腔内圧の比較や、クロール以外の泳法に関する異なる泳速度における腹腔内圧の変化をまとめて学会で発表することもできた。以上のように、現在はデータの公表に向けて取り組みを継続していることより、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で予定していた実験は一通り終了したため、今後は学会発表が決まっているデータに関しては発表準備を進め、未整理のデータに関しては分析を行う予定である。しかしながら、データの整理を進める中で、被検者の追加などの問題が発生した際には、速やかに追加実験を行う予定である。なお、学会で公表済みのデータに関しては、論文化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への参加費用が、他の研究費を充てることができたため、使用予定額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も国際学会にて発表が確定しているため、昨年度からの繰越額はその旅費などに充てる。また、論文投稿に使用する予定である。
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