研究実績の概要 |
近年日本では、「町おこし」の一環として多くの市民マラソンが開催されているが、市民マラソン開催を通じて、いかに地域ブランド向上が図られたかなどの実証研究はあまり進んでいない。そこで本研究では、地域ブランド研究で多く用いられる目的地イメージの概念を用い、市民マラソン参加者のイベント満足度がブランド認知、目的地イメージ、及び目的地ロイヤリティに影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。具体的には、研究1年目で開発されたスポーツイベント・パーソナリティと目的地・パーソナリティの項目と先行研究(Byon and Zhang, 2010)で用いられた目的地イメージの4因子構造(インフラ、魅力、価値、楽しみ)を参考に調査を実施した。 データ収集は、第6回赤穂シティマラソンにおいて、ゴールした参加者に対し直接配布回収法による質問紙調査を実施した。回収数は400票、有効回答数は353票(有効回答率:88.2%)であった。分析には、因果関係モデルを検証するため構造方程式モデリングを行った。分析の結果、イベントの満足度が高まれば、ブランド認知に対しポジティブな影響を与えることが明らかとなった。また、ブランド認知が目的地イメージに正の影響を及ぼすことも確認された。さらに、目的地イメージが目的地ロイヤリティにポジティブな影響を及ぼすことも示された。しかしながら、目的地イメージにおける価値は目的地ロイヤリティに影響を及ぼさなかった。つまり、市民マラソンを開催し、参加者がイベントに満足すれば、目的地のブランド認知は向上し、またブランド認知が高まることで、ブランドイメージは向上し、ひいては目的地に対するロイヤリティは高まることが示唆される。これらの結果より、市民マラソンを開催することにより、地域ブランド向上が図れる可能性が示された。
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