近年、トライアスロンやマラソンのようなエンデュランススポーツは多くの人々に親しまれている。その理由に関して、おもにこれまでの議論では、エンデュランススポーツは長距離、長時間にわたる苦痛の対価として意味ある成果を得る有用性にもとづいた実践だと考えられてきた。対して本研究では、何の見返りも求めずただ力を使い果たそうとする消尽と、それを受け入れ支えようとする歓待という有用性から外れた体験に、エンデュランススポーツの魅力を見出した。トライアスリートを対象としたビデオ撮影やインタビューなどの調査によって、非日常的な生の実感としての消尽と歓待の様相が明らかになった。
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