研究課題
カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ役割を担う一方で、筋細胞内の悪性脂質であるアセチルCoAと結合してアセチルカルニチンと呼ばれる物質を生成することによって、それを無毒化している。これまで申請者は、骨格筋収縮はアセチルカルニチンの生成を増大させることを見出しているが、筋収縮時のカルニチン動態、特にカルニチンの排出機構については明らかにされていない。アセチルカルニチンは骨格筋以外の臓器に作用し、様々な健康効果を生み出すことから、骨格筋は筋収縮時にはアセチルカルニチンを作って悪性脂質を減らすに留まらず、善玉であるアセチルカルニチンを血液を介して他の臓器に送っている可能性が考えられる。平成27年度は、培養骨格筋細胞C2C12を電気的に収縮させてマイオカインの調節性分泌を検証できる条件を確立した。平成28年度はマウス骨格筋の初代培養細胞から速筋および遅筋タイプの筋管細胞を作製することに成功した。カルニチントランスポーターOCTN2はC2C12では欠損していたが、初代細胞では確かに発現していたため、この実験系はカルニチン動態を解析する上で極めて有用なツールとなることが分かった。一方、マウスin vivoにおける骨格筋カルニチン動態を明らかにするために、安定同位体で標識したカルニチン(d3-carnitine)を静脈から投与し、質量分析イメージングによって骨格筋組織におけるカルニチン局在を可視化した。連続切片で筋線維タイプを同定したところ、標識カルニチンは遅筋線維で多く取り込まれることが明らかとなった。また、in situ収縮によって片脚を筋収縮させたところカルニチンの取り込みは促進し、さらにグリコーゲンの利用依存的にカルニチンのアセチル化が亢進していることが示された。
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