本研究は,一過性運動に先駆けて,運動肢に短時間の虚血―再灌流を複数回繰り返す虚血プレコンディショニング(IPC)を施行することで,全身性ならびに局所持久能が増加することを明らかにした.さらに,IPCを施行することで,運動中の骨格筋酸素化動態が促進されることから,IPCによる運動持久能の増加は,骨格筋ミトコンドリア機能の活性化に関連する可能性を示唆した.また,本研究は, IPCと非運動肢にIPCを施行する遠隔IPC(RIPC)が運動持久能の増加に及ぼす異なる生理基盤を介している可能性を見出し,長期介入によって運動持久能を高めるためには,RIPCよりもIPCが有効であることを示唆する知見を得た.
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