本研究によって、転写コファクターVgll2が運動の刺激によって誘導される骨格筋の適応反応に必須の因子であること、そしてVgll2の活性化は筋活動量の増減に相関することが明らかになった。さらに、Vgll2の上流にはカルシニューリンシグナルが介在し、TEAD依存的転写活性化に寄与することも明らかとなった。Vgll2とNFATc1との相互作用も明らかになり、Vgll2による骨格筋機能調節が、先行研究で予想されたものよりも多岐にわたることも予想される。従って、本研究で示唆された新規の遅筋化機能調節機構は、運動模倣薬開発など臨床応用にも発展し得る可能性を秘めているものと考える。
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