本研究では、健康情報拠点である薬局を活用したセルフメディケーション推進のための新しい教育プログラムを構築し、ランダム化比較試験によりその有効性を検証する。教育プログラムの有効性を明らかにすることができれば、その普及により、地域住民は積極的にセルフメディケーションを行うようになると考えられる。究極的には、セルフメディケーションを通じて国民の予防・健康管理の推進や医療費抑制が期待される。 本年度は、セルフメディケーションにおけるお薬手帳利用の手法を取り入れた「薬局を活用したセルフメディケーション推進の教育プログラム」を構築し、ランダム化比較試験を行った。薬と健康講座のみを受ける群(対照群)および薬と健康講座および本教育プログラムを受ける群(介入群)に無作為に割付し、薬と健康講座の直前(1回目)およびその2か月後(2回目)にアンケート調査を行った。「セルフメディケーションについて薬剤師に相談するようになった人の割合」は介入群で有意に高かったことから、本教育プログラムにより受講者はセルフメディケーションのために薬剤師を活用するようになることが分かった。また、「自身のセルフメディケーションに関することをお薬手帳に記載するようになった人の割合」は介入群で有意に高かったことから、本教育プログラムにより受講者は自身のセルフメディケーションに関することをお薬手帳に記載するようになることが分かった。 本研究により、「薬局・薬剤師を活用した適切なセルフメディケーション推進のための教育プログラム」は、薬局・薬剤師を活用した適切なセルフメディケーションへの行動変容に対して有効であることを明らかにした。
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