研究実績の概要 |
前年度までの研究成果を踏まえ,本年度は中学高校3年生対して,身体活動・生活習慣の大規模調査を実施した。都内の中学高校に調査協力を依頼し,81校の協力を得た。協力校の生徒に対し,2018年6月(受験期前,第1回)と11月(受験期,第2回)の2回にわたり,同一のアンケートを縦断的に実施した。第1回調査は中学3年生4,466人,高校3年生7,007人,第2回調査は中学3年生4,371人,高校3年生6,838人から回答を得た(のべ22,682人)。アンケート調査で取得したデータを,受験の有無(受験群・非受験群・内部進学群),学年(中学3年生・高校3年生),性別(男性・女性)でグループ分けし,分析した。その結果,受験期前(第1回調査)と受験期(第2回調査)の比較において,すべての群で身体活動量の減少傾向が見られ,とりわけ受験群において有意に低下することが明らかとなった。WHOが推奨する青少年期の身体活動量(中~高強度の身体活動を毎日60分)を達成している可能性がある人の割合は,中学 3年生で受験期前 56%から受験期28%に、高校 3年生で受験期前 32%から受験期 19%に減少した。 青少年の身体活動を促進するためには,「受験」も考慮した施策を検討する必要がある。本研究では,受験生の身体不活動を抑制する支援モデルとして,「身体活動量・生活習慣の現状を可視化するITシステムの開発」及び「授業前,合間に実施できる短時間の身体運動プログラム(受験生体操)の提供」の提案を行った。今後,これらの普及に取り組み,受験期における適切な身体活動量の確保,座り過ぎの予防を実現し,(1)受験期における心身の健康保持,(2)成長期における身体発達・体力向上,(3)進学後や成人後の身体活動の継続-の貢献を進めていきたい。
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