研究課題/領域番号 |
15K16513
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
森本 明子 大阪府立大学, 看護学研究科, 准教授 (90710377)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インスリン分泌不全者 / 糖尿病腎症 / 血圧 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究において作成した13年間の縦断的なデータセットを用いて、研究目的【3】(インスリン分泌不全者の糖尿病細小血管障害発症リスク)および研究目的【4】(インスリン分泌不全者において糖尿病細小血管障害発症に影響する要因)の検討を行った。2001年度に人間ドックを受診した30-79歳の地域住民のうち、糖尿病腎症(eGFR60未満、尿蛋白1+以上)があった者、糖尿病の者、インスリン分泌不全とインスリン抵抗性の両方に当てはまった者等を除外し、2013年度までの糖尿病腎症発症を評価した。解析対象者は3114名(正常者1353名、インスリン分泌不全者1085名、インスリン抵抗性者676名)であった。2001年度のベースラインにおいて、インスリン分泌不全者はインスリン抵抗性者に比べて、平均BMI値、平均収縮期血圧値、平均拡張期血圧値、平均総コレステロール値、平均LDLコレステロール値、平均中性脂肪値、平均空腹時血糖値が有意に低く、平均HDLコレステロール値が有意に高かった。糖尿病腎症の発症率(/1000人年)は、インスリン分泌不全者で36.8、インスリン抵抗性者で41.5であった。つまり、糖尿病腎症発症の危険因子であるBMI、血圧、血清脂質、血糖の値はインスリン分泌不全者の方が低いが、それにもかかわらず発症率は大きくは変わらなかった。ただし、交絡因子を調整したCox比例ハザードモデルの結果、正常者に比べて、インスリン分泌不全者、インスリン抵抗性者ともに有意な糖尿病腎症発症リスクの上昇は認められなかった。加えて、インスリン分泌不全者において糖尿病腎症発症に影響する要因を検討した結果、修正可能な要因のうち、血圧値と糖尿病腎症発症に有意な関連が認められた。このことから、インスリン分泌不全者において、血圧は糖尿病腎症発症に影響する重要な要因と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属が2017年4月から大阪府立大学に変更となった。所属が変わったことで担当する授業科目が大幅に変更になった。また、新たに、博士前期課程・後期課程の授業も担当することになった。今年度は、これらの授業の準備や実施などに時間を要した。ただし、平成29年度の研究課題の解析は進んでおり、研究実績の概要に示した通りの結果を得ている。期間の延長を行っており、平成30年度に得られた結果を公表する。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に、研究目的【3】(インスリン分泌不全者の糖尿病細小血管障害発症リスク)および研究目的【4】(インスリン分泌不全者において糖尿病細小血管障害発症に影響する要因)の検討結果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属が2017年4月から大阪府立大学に変更となった。所属が変わったことで担当する授業科目が大幅に変更になった。また、新たに、博士前期課程・後期課程の授業も担当することになった。今年度は、これらの授業の準備や実施などに時間を要した。ただし、平成29年度の研究課題の解析は進んでおり、研究実績の概要に示した通りの結果を得ている。期間の延長を行っており、平成30年度に、得られた結果を公表する。次年度使用額は研究成果の公表のための費用に用いる予定である。
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