ヒト水晶体の主要構成蛋白質であるクリスタリン(Cry)中では加齢に伴い、構成アスパラギン酸の異性化修飾(D-Asp)が蓄積する。我々はこれまで、可溶性画分中のCry内部D-Asp分布を示してきた。しかし、実際にはCryは水晶体内で様々な会合状態をとる。本研究では、これらをサイズ別に分離し、個別に内部Asp異性化率を比較し、Asp異性化がどのようにしてCry会合状態や機能へと影響を及ぼし、白内障発症へと結びつくのかを検討した。その結果、Cry単量体中のAsp異性化率が顕著であり、かつ不溶性画分中のものと類似していたことから、Asp異性化がCry単量体化および不溶化に関与する可能性が示された。
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