骨と骨格筋はどちらも環境、および、年齢に応じて、筋量・骨量が変化するが、その増減は同調することが多い。栄養、成長ホルモン、性ホルモン、運動などは筋量・骨量の増加に寄与し、一方、飢餓、加齢、グルココルチコイド、などは筋量・骨量の減少に寄与する。外部からのシグナルだけでなく、筋量・骨量の増減を同調させる骨と筋肉の間のクロストークの存在の可能性が考えられた。すでに筋肉から骨への作用については、骨格筋の収縮によるメカニカルストレスが骨量の増大にすることが明らかとなっているだけでなく、骨格筋の分泌するマイオカインの重要性が明らかとなっている。しかしながら、骨から骨格筋に作用する分子には不明な点が多い。そこで、本研究では骨と筋肉のクロストークの中でも骨から筋肉へ作用する分子の同定することを目的として研究を行った。 骨のモデルとして、骨芽細胞を用いて、未分化な骨芽細胞と骨分化した骨芽細胞で遺伝子発現をRNA-seqにより網羅的解析した。統計的に有意に骨分化誘導に伴って発現が4倍以上に増加する遺伝子として、143遺伝子が検出された。続いて、DAVIDのGene ontology解析により、分泌される因子を抽出したところ、32個の遺伝子が得られた。Ccl8、Ccl2、Il18、Il34といったサイトカインの発現が増加することが明らかとなった。RNA-sequenceの結果を確認するために、QPCR解析を行ったところ、サイトカイン(Ccl8、Ccl2、Il18、Il34)の発現の上昇を確認することができた。
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