研究実績の概要 |
1. SARC-F質問票の診断精度の検証と、新たな診断ツールの開発 サルコペニアのスクリーニングで用いられるSARC-F質問票を検証し、"EBM"(ElderlyとBMI)の追加による診断精度の改善を調べた。運動器変性疾患959名を対象とした。インデックス検査はSARC-F質問票および、これに"EBM" (Elderly 75歳以上、BMI 21kg/m2以下)を加えたスコアリング法(最高30点)とした。サルコペニア検出の感度・特異度・AUCを推定した。EWGSOP2基準のサルコペニアの診断に対する感度・特異度は、SARC-F(4点以上)では47.4%・68.4%、SARC-F+EBM(12点以上)では84.2%・68.8%であり、SARC-F+EBMの感度が優れた(P=0.008)。AUCはSARC-Fでは0.56、SARC-F+EBMでは0.88であり、SARC-F+EBMのAUCが優れた(P<0.001)。参照基準がAWGS基準でも、結果は同様であった。
2.単一質問によるサルコペニアのスクリーニング法の開発 単一質問による診断方法を開発し、診断精度を検証した。参照基準として、AWGSの定義によるサルコペニアを選んだ。運動器変性疾患498名を対象に、インデックス検査として17項目の質問の回答を求め、それぞれの特異度(Sp)と陽性尤度比(LR+)を推定した。17項目のうち診断性能が優れていた質問は、「ドアを開けるのが大変に感じる」(Sp 96%, LR+ 4.2)、「雑巾をしっかり絞れない」(Sp 91%, LR+ 3.2)、「お風呂の桶でお湯がたくさんすくえない」(Sp 91%, LR+ 2.7)であった。これらの質問で、サルコペニアの診断(rule in)を高精度で行える可能性がある。
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