本研究は、生活習慣改善による動脈硬化度の低下を鋭敏に反映する指標としてPTX3に着目し、食習慣がPTX3に与える影響について明らかにすることを目的として実施した。横断的および介入研究手法の2種を用いて最終的に食習慣改善により血中PTX3濃度が増加することを示すことを計画した。 令和2年度は、特に横断的研究としてこれまでに収集していた400名超の対象者において食事調査、血圧・動脈硬化度および身体的特性や血液生化学分析データを統計分析し、公表論文として国際誌に投稿するための準備を行った。この論文によって、血中PTX3濃度に影響を与える日常的な食事について明らかにしようとしている。 介入研究の成果は、本研究費の使用期間である平成30年6月に応用健康科学や栄養学において著明な査読付き国際誌であるApplied Physiology Nutrition and Metabolismに筆頭著者として公表することができているが、一部データから成人肥満男性における有酸素性運動トレーニングが血中PTX3濃度に与える影響についても第75回日本体力医学会(@オンライン鹿児島大会)にて公表することができた。さらに、コロナ禍であったが、地域高齢者における新たな食事調査も実施できた。多くの制限があったため、血液データを取得できなかったことは今後の課題である。 特に本研究実施期間中である平成28年9月から平成29年4月までおよび、平成30年12月~令和元年1月まで産休育休による休暇を取得したため当初の計画よりも期間は延長したものの申請時に提出した目標以上の成果を本研究から得ることができたと考える。 今後は、横断的研究の成果は引き続き、公表に向けて作業を進める予定である。 得られた成果は、さらに詳細な分析も実施し、随時関連学会大会に公表することも検討している。
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