本年度は,昨年度までに実施し,データを取得した立ち上がり動作および段差昇降動作についてその詳細を分析した.昨年度までは,日常生活動作のうち,特に椅子の立ち上がり動作と段差昇降動作に着目し,運動療法に有効であるとされる水中環境と陸上環境にてそれぞれの動作を行なった際の動作および筋活動を計測してきた.本年度は分析の結果を元に,日本体力医学会および日本水泳・水中運動学会にて学会発表を行なった.いずれも口頭発表とした.日本体力医学会では椅子立ち上がり動作に関する水中環境と陸上環境の比較から動作再獲得のための水中環境トレーニングの有効性を示し,日本水泳・水中運動学会では水深を変化させることの効果について示した.特に日本水泳・水中運動学会においては口頭発表がヤマハ最優秀論文発表賞に選出された.また,これらに関わる論文を執筆し,現在,投稿中および投稿準備中である.この他,今年度遂行予定としていた,データをフィードバックするツールの開発については,DynamicTimeWarpingという音声認識,情報処理手法を用いた評価を行い,時間規格化した生波形やDynamicTimeWarpingの結果表示およびデータの平均値や標準偏差などを表示するアプリケーションの開発に取り掛かり,まずは第一弾としてそれぞれのパラメータおよび図を表示するアプリケーションを開発した.このアプリケーションはWindowsPCおよびMacintoshマシンで動作するアプリケーションである.現在,さらに簡略化,安易な理解,また,2データの相関を計算する機能を加えた第2弾のアプリケーションの開発を目的として作業を進めているところである.また今後,開発したアプリケーションを実際に第三者に使用してもらい,ヒューリスティック評価によるアプリケーションの改善・開発を行なっていく予定である.
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