研究課題
本研究の目的は生活習慣病におけるエピジェネティクスの異常に対する水素の作用を確かめることを通じて、水素の抗作用メカニズムを解明することである。前年度までは細胞を用いて、エピジェネティックの異常を引き起こす条件下で水素の効果を確かめた。その結果、水素がLPS刺激によるHDAC 活性化を有意に低下させるとともに、Histone H3 (Lys 9)のアセチル化が高い傾向であった。この結果から、水素がHDACの活性化を含むエピジェネティクスを変化させることが確認された。高脂肪食摂取は生活習慣モデルのひとつであり、最近では高脂肪食摂取が記憶力の低下する研究報告がある。今年度は、高脂肪食摂取動物モデルを用いて、記憶力低下およびエピジェネティクスの異常における水素の効果を水素以外の抗酸化物質と比較検討することにした。水素と水素以外の抗酸化物質の効果を比較検討しよう思ったが、研究施設移行により、研究環境の変化し、細胞試験と同様な水素の作製ができず、動物に水素水の摂取させることができなかった。そのため、水素以外の抗酸化物質のみで高脂肪食摂取における記憶力低下モデルに及ぼす影響を検討した。その結果、抗酸化物質が記憶力測定テストのY 迷路試験において高脂肪食誘導の記憶力低下を抑制させる可能性が示唆された。しかし、記憶力低下を抑制させる因子とエピジェネティック異常に関連する遺伝子の特定、動物モデルにおけるエピジェネティックな変化の有無については、方法論の確立に時間を有し、比較検討するまでの段階に至らなかった。
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