研究課題/領域番号 |
15K16528
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
尾方 寿好 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (80415364)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 歩行 |
研究実績の概要 |
下肢に外力を与えて「他動歩行」させると、脊髄に存在する中枢パターン発生器 (CPG:central pattern generator) が駆動して、通常歩行時に見られる筋活動に即した下肢筋活動が発現する。一方、他動歩行中には、換気量増加や血圧上昇などの呼吸循環反応も生じる。このため、CPGの駆動と合わせて呼吸循環反応が生じている可能性があるが、この可能性は未だ立証されていない。そこで、「CPGを中核とする筋活動-呼吸循環反応のリンクが存在する」ことの検証を本研究の目的とした。ところで、従来の他動歩行は立位姿勢を取ることから、重力の影響による呼吸循環反応 (起立性の呼吸循環反応) が生じ、他動歩行そのものに由来した呼吸循環反応を抽出することが困難であった。そこで、平成27年度は、仰臥位でも他動歩行を実施できる器具を開発し、この器具を使用した際の筋活動を計測することを目的とした。CPGの駆動には足底に加わる荷重が重要な刺激となるため、足底への加圧の有無による筋活動を検討した。対象は若年健常者10名として、5分間の仰臥位他動歩行を実施し、全身の筋活動レベルを反映する酸素摂取量を測定した。酸素摂取量は足底への加圧の有無に関わらず、運動開始初期に一過性に上昇した。この上昇度合いについて、2つの試技の間で差は認められなかった。一方、本年度は、他動歩行中の脚の筋電図波形の計測も試みたが、他動歩行器具のモーターから発生するノイズの混入で測定が困難であった。また、開発した運動器具は、股関節の伸展時に足部へ加わる圧力が極端に弱くなるという問題点があった。これらの技術的な点により、生理指標の測定が不十分であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は足圧の有無による脚部筋電図波形への影響を記録する予定であったが、歩行器具のモーターから発生するノイズの混入や、足圧負荷が不十分であったことなどから、十分な検討ができなかった。しかし、足圧負荷の改良は年度末にかけて完了した。また、筋電図測定の代替として、酸素摂取量測定を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度末までに仰臥位他動歩行器具の改良がほぼ着手しており、平成28年度は未検討項目について検討できる状況になっている。改良した他動歩行器具を用いて、足圧の有無による筋活動応答、呼吸循環反応の差異を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
仰臥位で他動歩行を実現する市販の器具はないため、本研究では、仰臥位他動歩行器具を自作した。実験進行において生じる不具合の調整や、改良の必要性がたびたび生じたため、その都度、経費を必要とした。歩行器具整備費として研究経費を常に使用できるようにするため、翌年度分の繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
2年目以降も仰臥位他動歩行器具の整備費が必要になる可能性があるため、これに充てる。
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