研究課題/領域番号 |
15K16528
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
尾方 寿好 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (80415364)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 他動運動 / 仰臥位 / 呼吸循環反応 |
研究実績の概要 |
本年度は、仰臥位姿勢における他動的な歩行様運動 (S-PWM) 中の呼吸循環反応について検討した。健康な成人男子10名を対象とした。年齢、身長、体重はそれぞれ、20.8±1.5歳、170.2±3.2㎝、66.0±6.7kgであった。S-PWMは、股関節を左右交互に屈曲・伸展する運動であるが、この時、①足裏への加圧が無い条件(nfp試技)、②体重の約38%に相当する圧力を足底から加える条件(fpL試技)、③体重の約66%に相当する圧力を足底から加える条件(fpH試技)の3種類を実施した。これは、中枢歩行パターン発生器は、足底からの圧力が加えられる条件下で駆動するとされているためである。S-PWMの継続時間は3分間とした。S-PWM開始前、S-PWMの3分目、S-PWM終了後3分目の酸素摂取量、毎分換気量、心拍数、平均血圧の値を比較したところ、酸素摂取量と換気量については、3種類の試技の間に交互作用が認められた。多重比較の結果、毎分換気量についてはnfp試技とfpH試技において、S-PWM開始前の値よりもS-PWM中の値の方が有意に高値であった。酸素摂取量はどの試技においても、S-PWM開始前の値とS-PWM中の値の間に有意差は認められなかった。心拍数と平均血圧は時間の主効果のみが認められた。ただし、多重比較の結果では、心拍数についてはS-PWM開始前の値とS-PWM中の値の間に有意差は認められなかった。平均血圧は、S-PWM開始前の値よりも、S-PWM中の値の方が有意に高値を示した。以上より、S-PWMにおける呼吸循環系応答の生起と足底からの圧力の有無との対応関係は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究に必要な仰臥位他動運動器具の改良を行い、仰臥位他動歩行中に生ずる呼吸循環反応の特徴を解明することができた。しかし、この呼吸循環反応と下肢筋活動との対応は解明できておらず、次年度以降の検討課題として残された。
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今後の研究の推進方策 |
仰臥位他動歩行中の下肢筋活動応答の特徴を解明する。これと、本年度実施した呼吸循環応答とを比較することにより、他動歩行中に中枢パターン発生器を中核とした呼吸循環反応が生ずるか否かを解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で使用する仰臥位他動歩行装置は、市販のものが無いため自作している。実験の進行とともに改良を行ったり、メンテナンス等に費用が掛かる。このための予備費として当該助成金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も仰臥位他動歩行装置の改良費及びメンテナンス費として使用する。また、不測の事態に備えて、実験に頻繁に使用するセンサー等を購入する予定である。
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