研究課題/領域番号 |
15K16530
|
研究機関 | 星城大学 |
研究代表者 |
今井 あい子 星城大学, リハビリテーション学部, 助手 (40610514)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 抑うつ / サルコペニア / 地域在住高齢者 / 身体活動量 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,抑うつに着目したサルコペニア予防・改善プログラムを作成し,その効果を検証することである.目的達成にむけ,研究課題1では,抑うつがサルコペニアに及ぼす影響を縦断研究により明らかにする.また,研究課題2では,運動・栄養指導による従来型プログラムに,抑うつへのアプローチを加えたサルコペニア予防・改善プログラムを作成し,介入研究により効果を検証する.2015度年は,縦断研究の1年目として,愛知県A市の協力を受け,自治会回覧板等で対象となる地域在住高齢者を募集した.これにより,約250名の応募があり,公民館等にて,抑うつ度,骨格筋量,生活状況,身体活動量等の調査測定を実施した.データ分析の結果,女性高齢者では,年齢等を調整後も抑うつと骨格筋指数に関連が認められた.本結果は横断的な分析であるが,サルコペニアの予防・改善において,抑うつに着目する重要性を示唆しており,新たな支援方略の糸口となり得る成果と考える.また,本結果は,2016年の「21st annual congress of the European College of Sport Science」にて発表予定であり,同時に論文化を進めている.さらに,同調査では,抑うつのない女性高齢者の身体活動量に関連する要因を検討した.その結果,上肢筋力,歩行速度,バランス能に関連を認めた(第28回日本トレーニング科学会大会にて発表).今後は,研究課題1を遂行し,抑うつが骨格筋量等に及ぼす影響を縦断的な分析から明らかにする.さらに,2016-2017年度においては,研究課題2に取り組み,抑うつに着目したサルコペニア予防・改善プログラムを作成し,介入研究により効果を検証する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は,縦断研究の1年目として,愛知県A市と協力関係を構築し,広範囲に対象者を募集した.また,調査測定の会場確保,調査測定等での協力を受け,円滑に研究を進めることができた.研究成果の発表では,データ分析が予定よりも早く完了し,結果の一部を「第28回日本トレーニング科学会大会(鹿児島)」にて発表した.加えて,抑うつとサルコペニアの関連を「21st annual congress of the European College of Sport Science」にて発表予定であり,同時に論文執筆を進めている.2016年度は,縦断研究の2年目として,追跡者への連絡に加え,新規対象者の募集を行い,研究対象者の増加を図る.また,1年目の状況を踏まえ,円滑かつ合理的に研究を進める. 研究課題2については,2015年度において,最新の実証研究を中心にサルコペニア予防・改善および抑うつ予防・改善の知見を包括的に把握し,研究課題2で用いる介入プログラムを作成した.2016年度には,A市の特定高齢者にむけて対象者を募集し,プログラムの効果を予備的に検討する.また,これにより得られた結果からプログラム内容を再検討し,より効果的なプログラムを作成する.さらに,2017年度には,対照群を設け,修正したプログラムでの介入研究を行い,効果を検証する. これらから総合的に判断し,現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と自己評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
研究課題1:抑うつがサルコペニアに及ぼす影響(縦断研究) 2016年度は,愛知県A市との協働を継続し,追跡者への案内および新規対象者の募集を行う.また,1年目と同様の期間(8-9月)に調査測定を実施する.得られたデータを早期に分析し,学会発表と論文執筆に取りかかる.2017年度は,縦断研究の3年目として,調査測定を継続する.2018年度は,最終年度となることから,これまでの調査測定スケジュールに加え,2018年度以降についても調査と協働関係が継続できるよう自治体等に働きかけ,地域在住高齢者の健康維持・向上に資する研究を持続する. 研究課題2:抑うつに着目したサルコペニア予防・改善プログラムの作成と効果検証(介入研究) 2015年度には,これまでの実証研究に基づき,抑うつに着目したサルコペニア予防・改善プログラムを作成した.2016年度は,このプログラムを用いて,愛知県A市の特定高齢者約10名を対象に予備的研究を行う.また,得られた介入研究上の問題を分析し,より効果的なプログラムを検討する.2017年度は,対照群を設けて,修正したプログラムによる介入研究を行い,その効果を検証する.最終年度の2018年度は,2016-2017年度において,予期せぬ問題が生じた場合の対応期間と位置づけ,研究計画を完遂させる.得られたデータは早期に分析し,学会発表,論文掲載により,研究成果を広く一般に発信できるよう取り組む.
|
次年度使用額が生じた理由 |
身体活動量計の購入を予定していたが,研究協力者による貸与が可能となり,購入の必要がなかったため.
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額(B-A)である2,780円については,対象者数の増加が考えられるため,これに伴うデータ収集協力者への謝金に用いる.
|