研究課題
平成29年度は要支援・要介護認定者を対象に超音波法を用いた大腿前部の筋組織厚(量的指標)と筋輝度(質的指標)の評価、ならびに膝伸展筋力や歩行速度といった一連の運動機能測定を行った。また、これまでに取得したデータを解析した。当該年度に得られた知見は以下のとおりである。1)測定した全56名の対象者のうち、65歳以上の53名(男性25名、女性28名、平均年齢78.1歳)のデータを解析したところ、要支援・要介護の認定を受けた高齢者の大腿前部の筋組織厚は男性で4.01±6.2cm、女性で3.65±6.5cm、筋輝度は男性で22.6±4.4、女性で28.1±6.1であった。同一の装置を用いて評価した非認定者と比較すると、認定者は男女ともに筋組織厚が低値で、筋輝度が高値であった。2)地域在住高齢者1,319名(男性649名、女性670名)の大腿前部超音波データ(筋組織厚および筋輝度)と質問紙によるフレイル判定(ロバスト、プレフレイル、フレイル)の関連を検討した。分析の結果、筋組織厚は男女ともにフレイル(男性4.28±0.68cm、女性3.79±0.64cm)およびプレフレイル(男性4.36±0.69cm、女性3.93±0.62cm)がロバスト(男性4.67±0.64cm、女性4.11±0.57cm)に比べ有意に低値を示した。筋輝度も同様にフレイル(男性21.9±4.1女性27.1±5.9)およびプレフレイル(男性21.1±4.7、女性26.4±6.2)がロバスト(男性19.7±3.9、女性24.8±4.9)に比べ有意に高値を示した。これらの知見は、大腿前部の筋組織厚に加え筋輝度がフレイルの予測因子となりうることを示唆している。
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Clinical Interventions in Aging
巻: 13 ページ: 1019-1033
https://doi.org/10.2147/CIA.S151427