本研究は,腰痛を訴える者(腰痛群)と腰痛の既往歴を有する者(腰痛既往群)を対象に,腰部多裂筋の筋機能の改善および不良姿勢の改善を目的とした腰痛体操と教育の効果を検証した.評価指標は,痛みの程度と腰痛による機能障害,精神心理機能(破局的思考,恐怖回避思考,抑うつ)および片足立ち保持時間など身体機能検査とした.その結果,腰痛群では介入前に比べて介入後で痛みの程度が有意に改善した.一方,腰痛既往群では介入前に比べて介入後に破局的思考が有意に高まった.このことから,腰部多裂筋および不良姿勢に注目した介入は,腰痛群には効果的であるが,腰痛既往群には精神心理機能を悪化させる可能性があることを示した.
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