研究課題/領域番号 |
15K16534
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
吉原 大作 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00567266)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 鉄代謝 / SOD1 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、酸化ストレスが鉄代謝調節機構に与える影響を明らかにし、加齢に伴って引き起こされる鉄代謝異常の病態メカニズムを解明することである。これまでに申請者は、「脂質過酸化物4-HNEが鉄代謝調節因子IRP1を強力に不活化する」という知見を得ている。本研究では、「脂質過酸化物がIRP1を不活化するメカニズム」と「脂質過酸化物が鉄代謝に与える影響」を解析する。平成27年度には、培養細胞を用いて酸化ストレスが細胞内鉄代謝調節機構に及ぼす影響について検討を行った。その結果、細胞内における脂質過酸化物の増加が細胞内鉄代謝調節機構に影響を与えている可能性が示唆された。さらに、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、酸化ストレスが細胞内の鉄動態に及ぼす影響についてタイムラプス解析を行った。また、酸化ストレスがIRP1の翻訳後修飾や機能に与える影響を検討するための評価系の構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りに進めることができている。本年度は、培養細胞を用いて酸化ストレス(スーパーオキシド、過酸化水素、脂質過酸化物など)が細胞内鉄代謝調節機構に及ぼす影響について検討を行った。また、細胞内で酸化ストレス亢進を引き起こすような状態(高グルコース培地での培養、ミトコンドリア電子伝達系の阻害など)における細胞内の鉄動態についても検討を行った。その結果、細胞内における脂質過酸化物の増加が細胞内鉄代謝調節機構に影響を与えている可能性が示唆された。さらに、鉄イオンプローブと共焦点レーザー顕微鏡を用いて、酸化ストレスが細胞内の鉄動態に及ぼす影響をタイムラプス解析した。また、酸化ストレス亢進状態のモデルマウスであるSOD1KOマウスが行動学的な異常を示すこと、その行動異常の原因が脳内の鉄代謝異常である可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に得た結果を元に、酸化ストレスによるIRP1の機能変化や翻訳後修飾などの変化を解析する予定にしている。次年度は、日本生化学会、日本鉄バイオサイエンス学会、日本酸化ストレス学会などの学術集会で発表を行う予定である。また、研究の成果をまとめ海外の学術誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の執行は当初の予定通りにできており、次年度使用額は試薬価格などの変更などによるものであると考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬価格の変動などを考慮して、当初の予定通りに使用する。
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