研究課題/領域番号 |
15K16539
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
谷口 優 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40636578)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 身体機能 / 加齢変化 |
研究実績の概要 |
研究計画における平成28年度の目標に基づき、群馬県吾妻郡草津町において高齢者健診を実施した。平成27年度に引き続いて見込み受診者数を上回る729名の健診データを新たに収集したことにより、受診者数1890名、延べ受診回数8778回の長期縦断データセット(2002年~2016年)を整備することができた。 これまでに蓄積しているデータセットのうち、欠測がみられた最終学歴及び教育年数に関しては、平成28年度調査により一部補完することができた。例年実施している調査項目(医学問診、生活問診、身体計測、尿検査、心電図、眼底検査、動脈硬化度測定、血液検査、身体機能検査、認知機能検査、体組成検査、歯科検査、口腔機能検査)は、所定の方法で全てのデータ収集が完了している。 これまでに整備できているデータセット(n=1686)を用いて、歩行機能(通常及び最大の歩行速度・歩幅)の加齢変化を男女別にlatent class analysisで類型化を行った。本研究では、モデルの適合度で当てはまりが良いと判断できた一次直線を採用した。解析の結果、通常及び最大歩行時の歩行速度及び歩幅は、いずれも3つの群(高推移群、中推移群、低推移群)に類型化することができた。本研究結果から、高齢期の歩行機能(歩行速度及び歩幅)は、65歳時点の水準で加齢に伴って直線的に低下するが、65歳時点で歩行機能が低い高齢者は、90歳までの間に大きな機能低下がみらることがわかった。また、75歳から80歳までの間に歩行速度が1.0m/secを下回る加齢変化を経験する高齢者が男性の14.0%、女性の25.1%存在することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の計画について、データ収集に関して見込みを上回るサンプルサイズを確保することができた。また、これまでに蓄積しているデータに関して、一部欠測値を保管することができていることから、本研究が概ね順調に進行していると考える。 平成28年度は、欧米を中心とした最新の老年学研究で用いられるようになってきた縦断的統計解析手法を導入し、興味深い知見が得られていることからも、本研究が概ね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画における平成29年度の目標に基づき、平成27年度、28年度と同様に継続したデータセットの整備に注力する。また、平成27年度及び28年度に実施した縦断的統計解析手法による解析を進め、当初の予定以上の成果を出せるように努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的かつ効果的に調査を実施した結果、当初の予定に比べて安価で研究が実施できている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に実施する予定の調査では、本調査研究に対してこれまで以上に資金面で貢献する計画である。
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