研究実績の概要 |
2002年以降毎年実施してきた群馬県吾妻郡草津町における学際的研究(草津スタディ)の長期縦断研究データを使用し、地域在宅高齢者の身体機能(握力、通常歩行速度・開眼片足立ち時間)の加齢変化パターンの類型化及び早期身体機能低下の要因の解明を目的とした研究を行った。 草津町スタディの長期縦断データのうち、2002~2010年までの間に2回以上(最大9回)身体機能の評価が完了した1,048名(延べ4,747名)を研究対象とした。統計解析として、加齢変化パターンの類型化には潜在クラスモデルを用いた男女別の分析を行い、関連要因の分析には一元配置分散分析又はカイ二乗検定を用いた。更に、加齢変化パターン別の総死亡リスクを調べるために、2011年をエンドポイントとするCox比例ハザードモデルを用いた。 結果、各身体機能はそれぞれ3つの群(高・中・低推移群)に類型化でき、低推移群の割合は、握力で21.0%(男性25.1%,女性18.4%)、通常歩行速度で13.0%(男性6.4%,女性18.5%)、開眼片足立ち時間で47.3%(男性41.9%,女性50.7%)であった。一方、高推移群の割合は、握力で25.3%(男性24.0%,女性27.0%)、通常歩行速度で33.1%(男性42.8%,女性25.5%)、開眼片足立ち時間で34.2%(男性37.1%,女性30.4%)であった。 加齢変化パターンの関連要因の分析の結果、低推移群ほど、糖尿病の既往歴が多い、高HbA1c値、高抑うつ傾向、低健康度自己評価、低BMI、低T-cho値、低Alb値、低高次生活機能、低認知機能であった。 高推移群に対する低推移群の総死亡発生リスクを比較した結果、ハザード比(95%信頼区間)は、握力で2.43(1.21-4.88)、通常歩行速度で2.20(1.12-4.35)、開眼片足立ち時間で2.46(1.24-4.91)であった。
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