研究課題/領域番号 |
15K16542
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
加藤 育子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (00613720)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NIRS / 精神疾患合併妊娠 / 視線追跡装置 |
研究実績の概要 |
まず最初に当院での精神疾患を合併する妊娠についての調査を行った。2015年中の当院での分娩件数は約600件であったが、その中で児がNICU入院とならずに母子分離が必要とされなかった児の母で、精神神経疾患を合併している母は28人であった。そのうち11人がパニック障害と診断され、内服を必要としない例も多く存在した。母乳栄養を医学的理由により中止している場合が3例あり、すべての例で1か月健診を当院で行ったが、その時点で神経学的異常をみとめたのは2例であった。いずれも、母胎内服が影響したと考えられる易刺激性があり、体重増加不良をみとめた。 生理学的計測に関してはpocket NIRS(DynaSense)を購入し、実際にコントロール群乳児2名前頭部に装着して測定を行った。乳児の体位や動きにより、ノイズの混入が大きく影響することが判明したため、より混入が少ない状態での計測を今後検討する必要があると考えられる。他の影響を排除するために、ベッド上で睡眠状態での計測が望ましいと考えられるが、測定時に覚醒し動いてしまうことが多いため、同一条件で抱っこした状態での計測などが有用と思われた。 また、唾液中オキシトシン測定に関しては、その濃度が低いために通常のELISAキットによる測定では感度以下となってしまう可能性が高く、現在低濃度でも測定可能とするためにHPLCでの測定方法の確立を検討している。 視線追跡装置Tobiiによる計測は、3~4か月、9~10か月、1歳半等で外来に通院している精神疾患を合併する母の児5例について、当科での先行研究をもとに平面図と立体との見分け方や動体注視機能の能力を検討した。現在計測結果の解析を進めており、今後も測定を継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はpocket NIRSを購入し、設定完了するまでに時間を要したため、精神疾患合併妊娠の母から出生した対象児に対するpocket NIRSによる測定は不可能であり遅延しているが、今まで計測実績のあるtopography(同様に近赤外光を利用して脳循環の評価を行う)にて2名測定を行った。 オキシトシン測定に関しても実際に測定することは現在不可能ではあるが、当科の設備であるHPLCでの測定を目指して測定方法の確立を行っている。 視線追跡装置による計測は、本来の予定通り行っている。
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今後の研究の推進方策 |
当院での精神疾患合併妊娠例に関して情報を集積し、その後の発達フォローも含めて確実に経過観察できる体制を整える。 また、同意を得られた方においては、pocket NIRSによる前頭部の脳循環評価を行い、ノイズの少ない測定方法にて、計測実績の蓄積を行いたいと考えている。コントロール群についても、参加いただける方を募集してより多くの計測を行う。 オキシトシン測定は、HPLCでの測定を目指してカラムを購入し、尿や唾液などから低濃度のものでも確実に測定できる方法を確立する。 Tobiiによる視機能による測定では、現在使用している刺激素材をそのまま継続利用し、外来にてさらに計測を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はpocket NIRSを購入したが、コントロールユニット・プローブ・ソフトすべてをそろえたセットでは資金が不足するために、コントロールユニットのみを購入することとすた。その結果、予定よりも購入費用を抑えることができた。 また、当初の計画ではELISAキットでオキシトシン測定をする予定だったが、濃度が極めて低く通常の方法では困難と判断し、現在HPLCでの測定を試みているためELISAキットの購入費用が不要となった。 学会発表が可能な解析結果は得られていないため、国内学会の発表は本年度は行っていない。
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次年度使用額の使用計画 |
オキシトシン測定の方法が確立されると、HPLC用の薬剤やカラム等の購入費用が必要となる予定である。 また、徐々に計測実例を増やしていき、来年度・再来年度に学会発表や論文発表を行う予定である。
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