研究実績の概要 |
本研究の目的は携帯機器を対象としたサイバーパトロールの支援を進めることと定義しており,サブテーマを以下としている. a)携帯機器を対象としたアプリのCGMを解析し,危険度の高いウェブサイトやアプリを明らかにする. b)危険度の高いアプリの特性を解析し,各種条例と照らし合わせた細分化を行う. c)時系列によるアプリの危険度変化を可視化し,その傾向について明らかにする. H28年度は,H27度から開発しているサイバーパトロール支援システムを完成させ,4~5カ月の間継続可動することで47,385個のアプリ情報と,それに付随する217,334件のレビュー情報を収集し,情報の解析を行った. 収集したアプリ情報とレビューから得た知見については,本研究の該当分野が「子ども学」であることを考慮し,平成29年3月17日に日本子ども学会の論文誌チャイルド・サイエンスに投稿を行っている.さらに,H27年度にサブテーマa)-b)の内容についてまとめて発表した「ID交換掲示板における書き込み有害性評価に向けた隠語概念化手法の提案」については,より汎用化したアルゴリズムを考案し,H29年4月7日に情報システム学会論文誌に投稿を行った.警察庁が発行している「平成28年度上半期におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について」によると,本年度は依然としてコミュニティサイトに起因する事犯は過去最大数を記録している.本研究で提案したサイバーパトロール支援システムでは,スマートフォンアプリにおいて,コミュニティサイト種別に依存せずに効率よく危険アプリを発見できる手法を提案し,そのアルゴリズムと評価を公開できたことが成果として挙げられる.今後は,より長期の期間においてサイバーパトロール支援システムを稼働させることで,データの蓄積と危険アプリの推移の分析を行う.
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