研究課題
本研究は、「オレキシン神経伝達機構を作用部位・時間分解能を確保して解析するのための分子ツールの開発」を目的として、光により活性のon、offを制御できる光応答機能を付与した分子の開発を行うものである。最終年度は、①光ケージドオレキシン受容体作動薬の開発と、開発した分子を用いて②マウス脳切片を用いた電気生理学実験の検討を行った。①光ケージドオレキシン受容体作動薬の開発我々はオレキシン受容体作動活性を指標としたハイスループットスクリーニングにより見出したヒット化合物を基に、水溶性かつ高活性なOX2R選択的作動薬YNT-185を見出した。また、最近武田薬品工業からOX2R選択的作動薬TAK-925が報告された。今回、これらの薬物に対し、構造活性相関から得られた情報を基に光感受性保護基(光ケージド基; nitroveratryl基)を導入した光ケージドオレキシン受容体作動薬を合成した。本分子のin vitro OX2R作動活性を調べると、活性は大幅に減弱していた。また、UV/Vis測定により335 nmに吸収極大波長を有することがわかった。また、365 nmの光照射による光照射により、光脱ケージング反応が進行することを確かめた。②マウス脳切片を用いた電気生理学実験の検討セロトニン産生細胞特異的にtdTomatoを発現するPet1-tdTomatoマウス(6~8週齢)の縫線核領域の脳切片を用い、電気生理学実験を行った(セロトニン産生細胞はOX1RおよびOX2Rを発現する)。レコーディングバッファーに光ケージドオレキシン受容体作動薬を溶解させた薬液を用いて測定を行うと、セロトニン産生細胞の活動電位は変化しなかった。一方で、30分間365 nmの光照射を行った薬液では有意に活動電位の発生頻度を増加させた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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