研究課題/領域番号 |
15K16570
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 宏憲 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (30636676)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 意思決定 / リスク / 島皮質 / 前頭眼窩野 |
研究実績の概要 |
競争を勝ち抜くには時としてリスクを冒す必要があるが、過度なチャレンジは身を亡ぼす。我々の脳はどのようにしてこの2つの戦略を使い分けているのだろうか。これまでの研究によって個々の脳領域の機能については理解が進んできたが、それらがどのようにシステムとして機能し最終的な意思決定がなされているのかについてはほとんど分かっていない。我々はその端緒として、本リスク選択を促進する島皮質前部とリスク選択を抑制する前頭眼窩野がどのように連関して機能するか、すなわちこの2領域が拮抗しリスク選択・回避が決定されていくような神経活動のダイナミクスを捉えることを目指している。研究では初年度に電気生理学的手法を用い複数脳領域の活動の同時計測し、機能連関の推定を目指すし、次年度において推定されたネットワークに対し特定の神経回路の操作を可能にする光遺伝学的手法を用いることで、実際の因果関係を導き出す計画である。本年度は当初の計画通り電気生理実験を中心に行い、ギャンブル課題遂行中のラット島皮質前部および前頭眼窩野から単一神経活動を同時記録した。その結果2領域のおよそ15%の神経細胞から、意思決定がまさに行われるであろう選択の直前のタイミングにおいてリスク選択あるいは回避と関連する活動を記録することができた。当成果は2015年10月にシカゴで開催された北米神経科学会において発表した。現在はそれら2領域の神経活動がどのように連関しているのか解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は計画通りギャンブル課題遂行中のラットの島皮質前部と前頭眼窩野から神経活動の同時計測を行うことができ、その成果について国際学会で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画は当初の予定通り、初年度に得られた電気生理実験の結果の解析を行いネットワークを推定し、その後光遺伝学的手法と電気生理実験を組み合わせながらそのネットワークが実際に意思決定に寄与しているのかを検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費について…神経活計測用ケーブルの耐久性が低く当初複数回の買い替えを見積もっていたが、予想外に長持ちしているため支出が抑えられている。但し今後故障した場合には新規に購入する必要がある。旅費について…北米神経科学会の旅費を東北大学脳科学センターに支援して頂いたため支出の必要がなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き電気生理実験を行っていくため、神経活動計測に必要な消耗品の購入に充てていく。
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