研究課題/領域番号 |
15K16574
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
蝦名 鉄平 基礎生物学研究所, 光脳回路研究部門, NIBBリサーチフェロー (30611206)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 覚醒下2光子イメージング |
研究実績の概要 |
私たちが何かを思い出すときには、その内容に関連した高次の脳領域と、その情報を処理するための領域(例えば、映像であれば視覚野)で神経活動が見られる。本研究では、実際の環境からの入力と、思い出す事(記憶の想起)により誘発される大脳皮質ニューロン集団の活動を細胞レベルの空間分解能で比較する事によって、どのようなニューロン集団の活動が「イメージ」を作り出す事に寄与しているのかを明らかにする。 平成27年度には、想起と実際の入力による大脳皮質ニューロンの活動を比較するために、in vivo 2光子励起カルシウムイメージング法を覚醒状態のマウス大脳皮質に適用するための実験系を確立した。 はじめに、同一のニューロン集団を長期継続的に観察するために、アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子(蛍光カルシウムセンサータンパク質GCaMP6f)導入の最適化を行った。特に、ウイルスの注入量や注入時間を調整し、過剰な遺伝子発現に起因する細胞死などの問題と、注入後の時間経過に伴うGCaMP6fの蛍光変化を確認した。これらの結果をもとに、ウイルス注入の最適パラメータを決定し、大脳皮質のニューロンにGCaMP6fを長期的に発現させる事に成功した。また、大脳皮質のニューロンは様々なサブタイプに分類されるが、それぞれにGCaMP6fが導入されている事を免疫組織化学的な方法を用いて確認した。 最後に、想起誘導のためのトレーニング系を構築し、トレーニング期間などの検討を進めた。また、タスクを行わせながらマウス一次運動野のニューロン活動を記録し、動きに起因する揺れなどの問題がない事を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、長期継続的なイメージングのための実験方法と、マウスの想起誘導のためのトレーニング方法について検討を進めた。特に、ウイルスの注入方法を最適化する事によって、様々な細胞種に蛍光カルシウムセンサータンパク質を導入でき、高いSN比で神経活動を記録する事が可能となった。さらにSN比の向上に伴って、当初予定していたよりも広範囲にわたるニューロンのイメージングが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、想起誘導のトーレニングについて検討を進めるとともに、マウス一次聴覚野おけるイメージング系を確立し、聴覚野においてCre-loxP部位特異的組み換え法による細胞種特異的なGCaMP6fの導入とそのイメージングを行う。
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