研究課題/領域番号 |
15K16575
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
森下 嘉之 茨城大学, 人文学部, 准教授 (60589042)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 東欧 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、第一次世界大戦後に成立したチェコスロヴァキア共和国の「多民族性」を、難民・外国人政策や追放・入植政策さらに国境政策を通して再考することで、東欧唯一の民主主義国家といわれた同国の建国理念のなかに、どのような包摂と排除の論理が内包されていたのかを探るものである。本研究の事例を通して報告者は、東欧のみならず近代ヨーロッパが生み出した国民国家体制から「抜け落ちる」人々を掬い上げるための視点を提供することを目指している。 本研究においては国際学会「国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)」でパネル報告を行い、隣接分野の研究者との協同プロジェクトを遂行することによって問題意識を共有し、研究の発展を図っている。本年度に報告者は、1920-30年代にチェコスロヴァキアとポーランドの境界地域で発行されていた教会系新聞を分析することで、国民化が進行する両大戦間期の東欧地域の境界住民の反応に迫ることを目指した。そのために報告者は、前所属の北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターと共同研究を行い、国際学会に備えた。国際学会でのパネル報告は当初の予定通り実施され、海外からの招聘者も含む共同報告者・パネリストらと研究成果を発信することができた。さらに、報告者がフィールドとするチェコにおいても現地での資料調査を行い、研究遂行に必要な資料・文献を入手することが出来たほか、チェコおよびドイツの現地研究者とコンタクトを取り、今後の研究の展望について情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
報告者は当初の予定通り、平成27年夏に国際学会でのパネル報告「「マイノリティはメディアを通して何を訴えたのか-20世紀前半における中・東欧地域の事例から-」を行い、その成果を海外に発信した。また、チェコを中心とする海外調査に赴き、研究に必要な資料を入手した。資料分析を通して、次年度以降の研究の発展につながることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
報告者は今年度に得られた成果をもとに、さらに海外現地での資料調査をすすめ、現地研究者とも積極的なコンタクトを取ることで、今後の研究を進展させたい。また、国内においても北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターをはじめ、東欧研究者および隣接分野の研究者との共同研究の構築につとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍購入や旅費使用に際しての端数が最終的に95円分生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
文具など消耗品の購入によって消化する計画である。
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