研究課題/領域番号 |
15K16581
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中瀬 一恵 (出町一恵) 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 特任講師 (20709753)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ガーナ / 石油生産 / 採取産業 / 債務 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,2000年代の天然資源開発投資に牽引されたアフリカ諸国の経済成長について,統計などのデータを基に再検討することを目的としている。平成28年度からは,研究対象を,近年石油の商業生産が開始したガーナ国に絞って調査を行っている。 平成28年9月3日から23日にかけては,ガーナ国アクラ市および周辺において財務省,石油関連の規制当局,エネルギー関連の管理者,および民間団体などを訪問し,インタビューや情報の収集を行った。また,ガーナ大学を訪問し,石油生産の開始以来問題となっている住民対話や北部の農業への影響などについても,研究者との議論を行った。加えて,National Archiveを訪れ,関連資料の蒐集を行った。 また,平成28年度には石油の商業生産開始と並行して始まったガーナのユーロボンド発行を通じての資金調達やその問題点についても情報の収集・分析を行った。この分析については未だ途上であるが,その一部については学内で開催した特別セミナーで報告を行った。 当初,同年度にはアフリカにおける採取産業と製造業での投資の影響との差異に関する分析も計画していたが,諸事情によりエチオピアでの現地調査を行うことができなかった。この点については,平成29年夏からガーナでの製造業分野に関する調査・分析を行うことを検討している。ただし,本研究課題については平成29年度が最終年度であるため,製造業分野に関する研究は新規課題として別途進めることも考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度は,平成28年3月にガーナで実施した情報収集を補完する形で,再びガーナでの現地調査を行うことができた。この調査を通じ,石油生産関連や経済活動と密接にかかわるガーナ国内のエネルギー事情に関する資料や情報の収集を進めることができた。また,ガーナ財務省やガーナ大学の研究者との面談は,現在の石油に牽引された経済変化における問題の所在などについて気づく点もあり,今後の研究を進めるうえで非常に有意義なものであった。しかし,分析はいまだ途上にあり,論文の執筆や学会での報告にまで至っていない。この理由として,平成28年3月まで分担者として参加していた他の研究プロジェクトに,想定していた以上に時間を割く必要が生じたこと,また平成28年3月から本研究代表者の所属機関が異動になったことによる新たな業務の増加などにより,計画していたとおりの時間を本研究に割くことができなかったことが挙げられる。しかし,本分析を進めるにあたり必要な情報は整理を進めている他,一部については非公式の場などでも報告を行っている。また,分担者となっていたプロジェクトのうち一つは平成28年3月に終了したことから,29年度には本来想定していた時間を本研究へ充てることができると考えている。本研究課題の最終年度ということもあり,平成29年度には少なくともワーキングペーパーという形で分析を整理し,研究成果の発表につなげたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には,これまでにガーナでの現地調査などで蒐集したデータや情報の分析と検討を進め,2000年代以降,特に石油の商業生産が実際に始まってから,ガーナ国内の経済,エネルギー事情や政府財政および債務状況にどのような変化が生じたのかを明らかにしていく。また,本研究課題の主要なテーマである製造業への外国直接投資と採取産業への投資の比較については,ガーナ国内における比較から分析が可能か検討する。また,債務状況の変化については,マクロ経済データを用いて他の天然資源依存のアフリカ諸国などと比較分析が可能かどうか検討する。 平成29年度にも夏にガーナ国における現地調査を行い,経済状況の視察を行うとともに,不足情報などを補うことを計画しているが,本研究課題の最終年度として,今後の研究をどのように発展させていくか,特に採取産業と製造業とのか関わりについても考えながら研究の取りまとめを進めていく。またこの点については,研究代表者が参加している研究会などで報告を行い,議論を通じてコメントなどを得ながら研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,アフリカにおける現地調査を平成28年夏および平成29年2月に実施することを計画していたが,本務校での業務などの関係から春のアフリカ滞在は難しいと判断し,平成28年夏のみの調査とした。そのため,当初の予算計画から差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の現地調査,および国内での研究会報告のための費用,図書や論文の文献購入,および英語論文執筆の際の校閲費用に使用する。
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