研究課題
平成29年度は前年度に引き続き,2000年代の天然資源開発に牽引されたアフリカ諸国の経済成長を,経済統計等を用いて再検討することを計画していた。特に29年度は2007年度に原油が発見されて以来,経済が大きく変化していると思われるガーナ国の調査・分析に重点を置いた。平成29年9月3日から9月15日にかけて,ガーナ国アクラ市周辺にてインタビュー調査等を行った。昨年度の同国における調査では国営石油会社や管轄当局,財務省などへのインタビューを行ったが,29年度は採取産業が伸びる一方で傾斜産業となっている製糸・織物業,縫製業や職業訓練校など,かつては同国の基幹に据えられていた製造業分野での聞き取りを行った。調査の結果,同国においては組織的な製造業が衰退し,大半が個人零細企業となりつつあるなどの傾向を見ることができた。採取産業投資に牽引された成長の裏で製造業が衰退し,産業構成と教育分野の構成が急速に変化している具体例を観察できたことは,統計データを用いた分析を進める上でも有意義であった。本研究の実施期間全体を通じ,現地調査を通じ現地マクロ経済の変化,政府の支出行動の変化,人々の期待の変化などを目の当たりにした。この点については分析により,特に政府債務の増加,マクロ経済の不安定化などが2000年代の石油開発の開始と深く結びついていることが,統計的にも明らかになりつつある。これらの気づきは今後,アフリカ資源国の経済分析を継続するにあたり新たな視点を与えるものであり,大きな意義を持つ。
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Frontiers of African Studies, Proceedings of the ASC-TUFS “Kickoff” Symposium" African Studies Center, Tokyo University of Foreign Studies
巻: -- ページ: 55-68
IDE Discussion Paper
巻: 671 ページ: 1-23