本研究は、インド・アッサム州で農業開発が進まない要因について、地域特有の多民族社会の特性から明らかにした。アッサム州で多数派を占めているアーリア系在来ヒンドゥー教徒(アホミヤ)の村落では農業新技術の導入がほとんど起こっていない一方で農業離れが始まっており、農業土地利用も徐々に変化している。アンケート調査と聞き取り調査の結果、近隣村落の他の民族ではアホミヤと社会経済状況がまったく異なっており、農業開発の意味合いも民族によって異なっていることが分かった。民族間の関係性を積極的に評価することが、アッサム州の農業の持続性にとって重要であると考えられる。
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