研究課題/領域番号 |
15K16583
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
油井 美春 広島大学, 現代インド研究センター, 特任助教 (50634440)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インド / 暴動 / 憎悪犯罪 / コミュニティ・ポリシング / 予防 / 秩序維持 / 多文化主義 / 共生 |
研究実績の概要 |
本研究はインドのヒンドゥー・ムスリム間暴動に対して、警察と住民によるコミュニティ・ポリシング活動が犯罪および暴動の予防を達成した事例に着目する。本研究の目的とは、活動事例について、聞き取り調査と参与観察を行い、かつ州間比較から活動モデルを導出し、他地域への適用可能性を考察することである。 研究の2年目にあたる2016年度中には、国内外での成果報告およびタミル・ナードゥ州において現地調査を実施した。2016年10月には米国・ウィスコンシン州マディソン市で開催の45th Annual Conference on South Asiaにて“Preventing Riots in India: Can Community Policing Promote Multicultural Symbiosis?”とのタイトルで報告を行った。本報告では、米国とインドで遂行されてきたコミュニティ・ポリシング活動について、比較検討を行った。インドのマハーラーシュトラ州、タミルナードゥ州、ケーララ州の事例から、警察と住民が法執行活動に参画することで、域内社会に秩序維持と宗教コミュニティ間における多文化主義的な共生を促進しうるとの議論を展開した。 2017年2月から3月にかけて、タミル・ナードゥ州チェンナイ市を拠点として、フレンズ・オブ・ポリス運動によるコミュニティ・ポリシング活動に参画する市警察、住民リーダー、住民への聞き取り調査を実施した。今回の現地調査では特に地方において住民がコミュニティ・ポリシング活動に参画する意義についての聞き取りを行った。2017年3月にマドラス大学大学院犯罪学研究科にて開催の招待講演にて今回の現地調査で得られた知見を盛り込んだ成果報告を行い、学際的な議論を通じて、現地の研究者との意見交換を行い、フィードバックを図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度中には、国内外での学会と招待講演にて成果報告を行い、当初の予定通りに海外で現地調査を実施するなど、研究計画はおおむね順調に進展している。2017年度にさらに国内外の学会での報告、査読付き学術論文の執筆・投稿によって成果の公表に取り組むとともに、平成27年度から継続している現地調査を実施して、知見の拡充を行う。
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今後の研究の推進方策 |
3年目にあたる2017年度には、インドのコミュニティ・ポリシング活動モデルの導出のために、タミル・ナードゥ州のフレンズ・オブ・ポリス運動への調査を継続するとともに、ケーララ州のジャーナマイシュリ・スラクシャ計画によるコミュニティ・ポリシング活動について、資料収集と現地調査を行い、比較分析を進展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年2月から3月に実施したタミル・ナードゥ州での調査に際して、期間を短縮したため、次年度使用額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
2018年2月から3月にかけて、タミル・ナードゥ州およびケーララ州での現地調査を実施する予定である。
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