本研究では、2003年のイラク戦争で旧フセイン体制が崩壊した後のイラクを事例に、①新・旧体制の学校教科書を中心とする多様な一次資料を比較分析することで、体制側がいかにして公定ナショナリズムを作り出し、国民統合を進めているのかを解明しようとした。さらに、②世論調査によって、一般の人々がこうした体制の公定ナショナリズムをどのように受容し再編しているのかという問題、つまり受け手の主体性を解明しようとした。以上を通して、③ポスト紛争社会における国民形成のプロセスを動態的・包括的に解明することを目的とした。
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